展覧会Exhibition

長谷川 創 - Primitive Vehicle
写真:「Primitive Vehicle」 鉄・木、1500×1500×3000mm、2011年

  • 長谷川 創 - Primitive Vehicle

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長谷川 創 - Primitive Vehicle

2012.2.24(金) - 3.11(日)

この度、アートフロントギャラリーでは長谷川創「Primitive Vehicle」展を開催致します。
日程 2012.2.24(金) - 3.11(日)
営業時間 11:00~19:00 (月休)
会場 アートフロントギャラリー
イベント オープニングレセプション 2月24日(金) 18:00~20:00
作家在廊日 2月24日(金)、25日(土)、26日(日)、3月3日(土)、10日(土)、11日(日)
特別展 2/28~3/4の期間、角文平の特別展「Sprout」を開催します。
長谷川はここには本来ない、あるいは見えないはずの「もの」を作る作家である。これまでも金属で様々な造形を試み、金属のコラージュという名前で明らかに造形的でありながら用途不明な道具のような作品を作ったり、パズルという名目で本来そこに確固たる姿で解答がないはずのパズルを組み合わせることで、確固たる造形的な彫刻になる彫刻を製作している。2007年頃には自生する竹を梁で支える金属の作品を製作したり、床や天井を支えられると思えないような構造体で支えているかのような空間を作る作品をも試みている。あるいはイカロスの翼を思わせる羽を金属の「もの」に取り付けられた作品。こちらはとたんに物語を感じるのであるが、はっきりとは何を作ろうとしたのかわからないことが非常に魅力的な作品であった。金属という素材はそれ自体に重量を感じさせるためであろうか、比較的、金属を使った彫刻は作品として自律しやすい素地である。長谷川のこれまでの作品には2つの傾向がある。具象的な物語性のある幾つかの作例を除くと、自律的な彫刻をやめようとして次の次元を模索している彫刻家の姿を感じさせる点で、晩年の机の上の作品を作っていたアンソニー・カロのようでもある。一方でカロにない魅力は、素材を鉄板、鉄棒あるいはボルトなど、一般的に建築や工具に用い、私たちがホームセンターなどで手に入れることのできる卑近なものまで素材をいったん還元して使用している点である。
今回の展覧会でもボルトなどを使って壁に作品が「依存」する(あるいは壁が作品に依存するといったほうが正しいであろうか)ものであったり、錬金術師のように、ないかもしれない未来へ渡る造形的な道具が展示される。今回の作品群は作家が作ってきた具象的なイカロスの翼の作風と、彼が長年試みてきた見えないはずの「もの」をつくる非自律作品を融合させた点で画期的な展覧会になると思える。同時に、彫刻がこれまでにない地平で存在しうることをこの展覧会は示してくれるのではないだろうか。 
アートフロントギャラリー 近藤俊郎

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