展覧会Exhibition

河口龍夫 個展 : 関係―中原佑介、あるいは創造としての批評
2002 / 紙に鉛筆/ 380 x 560 mm

  • 河口龍夫 個展 : 関係―中原佑介、あるいは創造としての批評

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河口龍夫 個展 : 関係―中原佑介、あるいは創造としての批評

2019年2月7日(木) – 3月3日(日)

この度アートフロントギャラリーでは、河口龍夫の個展を開催致します。
展覧会初日には、18:30よりアーティストトークも行います(45分程度)。お席の確保のため、事前のお申し込みにご協力ください:>申し込みフォーム
日程 2019年2月7日(木) – 3月3日(日)
営業時間 11:00 - 19:00 (月、火休)
レセプション / アーティストトーク 2019年2月7日(木) 18:00-20:00 ■トークは18:30~ 出演:河口龍夫、北川フラム >申し込みフォーム
河口龍夫は、1940年、兵庫県神戸市に生まれ、1962年に多摩美術大学絵画科を卒業して以来、50年以上のあいだ、日本を代表する現代美術アーティストとして、現在もなお最前線で活躍し続けています。鉄・銅・鉛といった金属や、光や熱などのエネルギー、化石や植物の種子などを素材に、物質と人間や時間との関係をテーマにしたコンセプチュアルな作品を制作しています。

河口作品の主要なコンセプトに「関係」という概念があります。多くの作品に「関係」というタイトルがつけられています。その河口の言う「関係」とはいかなるものか、傍で見続け、批評を行っていた人物に中原佑介がいます。中原佑介は1931年生まれ、京都大学理学部卒業後に、美術評論家に転身。以降、現代美術の黎明期である戦後の日本で、美術家と併走しながら精力的に批評を書き続けるほか、多くの重要な展覧会の企画を手がけます。そのひとつである「東京ビエンナーレ1970 人間と物質」展では、河口龍夫も出展しています。中原佑介は2011年に、惜しまれつつもこの世を去りますが、今後とも語り継がれていくべき功績を残しています。

本展では、展覧会のタイトルを「関係―中原佑介、あるいは創造としての批評」と題し、2002年に現代企画室より版行された『関係と無関係 河口龍夫論』の装丁で使用されたドローイングの原画を29点のほか、この本を素材にした小作品を展示いたします。

河口龍夫とアートフロントギャラリーの協働は、80年代に遡ります。以来現在に至るまで、ファーレ立川パブリックアート、越後妻有アートトリエンナーレ、奥能登国際芸術祭等、地域にも遠くからの来場者にも記憶に残る印象的な作品を手がけてきました。本展は、2019年GWより磯辺行久記念越後妻有清津倉庫美術館にて開催する「河口龍夫展:時の羅針盤」に先駆けて開催されるものです。どうぞ両展あわせてお楽しみください。

関係—批評・言説からの誕生 / 2018 / 本(中原佑介著〈関係と無関係-河口龍夫論〉)、蜜蝋、鉛、銅パイプ、銅線、種子(蓮)



河口龍夫と中原佑介
加治屋健司(美術史家、東京大学准教授)

 河口龍夫と中原佑介の関係は、作家と批評家がもちうる関係の中で最良のもののひとつだろう。1958年多摩美術大学の学生だった河口は中原の授業に出席する一方、中原は、65年に河口らのグループ〈位〉による《穴》を見ていた。だが両者が互いを知り合うのは、67年の京都アンデパンダン展の合評会の後だという。以来、二人は充実した関係を築いてきた。中原は、自らが企画した70年の「人間と物質」展に河口を選び、71年の個展に際して書いた小文以来、全部で15本も河口論を書いている。

 河口と中原は、互いに共鳴するものを感じていたのではないか。中原は当初「人間と物質」展を「人間と物質のあいだ」としようとしており(英語名はBetween Man and Matterになった)、70年前後は「あいだ」に強い関心があった。河口もその頃から「関係」と題した作品をつくっている。物理出身の中原は、物理や化学の現象を扱う河口のその後の作品に近しいものを感じたかもしれない。80年代後半に河口は生命現象に関心を寄せるようになったが、後の中原が、先史時代のヒトによる洞窟画に関心を持ち、人間の生や始まりの現象に関心を持ったことは無関係ではないように思われる。

 中原による河口論を読むと、中原は河口の作品の展開を丁寧に見るだけでなく、一歩踏み込んで作品を解釈している点が興味深い。中原は、河口の「関係」を「見えること」と「見えないこと」の関係であるとした上で、河口は「眼に見えるもの」を媒介にして「五感を超えたもの」を感じさせることを目指していると論じている。中原は、さらに一歩踏み込んで、河口の作品には、視覚とその対象の「関係の解体」ないし「無関係」があるとして、90年代以降顕著となった「標本的展示」の形式に「無関係」を見いだす。中原の河口論は、河口の考えと異なるところもあるかもしれないが、河口作品の解釈を豊かなものにする点で優れた批評であると言える。

 『関係と無関係 河口龍夫論』は、中原の河口論を収めた本であると同時に、河口による中原論になっている。装丁は河口の鉄の箱の作品を思わせる。箱の内側に塗られた黄色に表れているように、中にあるのは光の充溢であり、河口のドローイングは中原の本から発する様々なエネルギーを表しているように見える。この堅固な装丁の箱に守られながら、輝かしい中原の河口論が読まれ続けることを期待してやまない。



























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