プロジェクトProject
田中里奈展、作家が自身を語る
ギャラリー
今回アートフロントギャラリーで初めて個展を開催する田中里奈さんに、これまでの軌跡や制作のプロセス、今追及している事柄などを語っていただきました。
私は2012年に名古屋芸術大学を卒業し、在学中は油彩を使っていましたが卒業後に一度アクリル絵具に切り替えました。今回の展示では油彩とアクリル絵具の両方を使っています。
私は自分の実体験の記憶に基づいた風景画を描いていますが、この景色を描くと決めたらそこからどのくらいの時間を作品に入れこむかを決めてから描きはじめます。例えばこの絵は京都の妙心寺にある大心院の阿吽の庭なのですが、そこに滞在した30-40分間の記憶で、初めは曇りで途中から雨が降ってきたときの景色を描いています。記憶に基づいてはいるのですが、喜怒哀楽の記憶や感情はそこにははいっていなくて、景色に含まれている形をたどり、分解して再構築し、絵画の歴史やルールをふまえて構図や視線の動き、多様な遠近法、物質的な絵具の載せ方、細かく描きこむ部分とあえて描かない余白の部分などいろいろなことを考えながら描いています。また描く対象に応じて描き方をかえて、複数の表現技法を混在させることで互いが互いのよさを引き出すように心がけています。
白い線で描かれている部分は境内の地図を表しており、はいったときにもらう拝観用の地図を頭にいれて、ある場所にたどり着くという行為そのものが表現されています。自分が通った通過点も含まれていて、それと大心院にたどり着いたときの景色が絡み合うことで目的地にたどり着くまでの時間とたどり着いた後にお庭で過ごした時間の経過を表現しています。
画材については油絵からアクリル絵具に切りかえたときに、アクリル絵具だと乾燥後に水分がとんでフラットになりがちで物質的にちょっと物足りないところがあったので、それを補うために牡蛎殻とかセラミック、粉末の水晶など異素材を混ぜることで絵柄にボリューム感を出して近寄って見たときに楽しめる要素を加えています。
私は自分の実体験の記憶に基づいた風景画を描いていますが、この景色を描くと決めたらそこからどのくらいの時間を作品に入れこむかを決めてから描きはじめます。例えばこの絵は京都の妙心寺にある大心院の阿吽の庭なのですが、そこに滞在した30-40分間の記憶で、初めは曇りで途中から雨が降ってきたときの景色を描いています。記憶に基づいてはいるのですが、喜怒哀楽の記憶や感情はそこにははいっていなくて、景色に含まれている形をたどり、分解して再構築し、絵画の歴史やルールをふまえて構図や視線の動き、多様な遠近法、物質的な絵具の載せ方、細かく描きこむ部分とあえて描かない余白の部分などいろいろなことを考えながら描いています。また描く対象に応じて描き方をかえて、複数の表現技法を混在させることで互いが互いのよさを引き出すように心がけています。
白い線で描かれている部分は境内の地図を表しており、はいったときにもらう拝観用の地図を頭にいれて、ある場所にたどり着くという行為そのものが表現されています。自分が通った通過点も含まれていて、それと大心院にたどり着いたときの景色が絡み合うことで目的地にたどり着くまでの時間とたどり着いた後にお庭で過ごした時間の経過を表現しています。
画材については油絵からアクリル絵具に切りかえたときに、アクリル絵具だと乾燥後に水分がとんでフラットになりがちで物質的にちょっと物足りないところがあったので、それを補うために牡蛎殻とかセラミック、粉末の水晶など異素材を混ぜることで絵柄にボリューム感を出して近寄って見たときに楽しめる要素を加えています。