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瀬戸内国際芸術祭2016リポート - リン・テンミャオ
作家:リン・テンミャオ(林天苗)
作品:No.060「自転-公転」
場所:男木島

  • 瀬戸内国際芸術祭2016リポート - リン・テンミャオ

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瀬戸内国際芸術祭2016リポート - リン・テンミャオ

2016.10.8(土) - 11.6(日)

3回目を迎えた瀬戸内国際芸術祭。各島での展開も多彩になってきました。
この機会にギャラリースタッフより作品紹介を行います。

日程 2016.10.8(土) - 11.6(日)

男木島の小高い丘の上に心地よい風が吹いている。瀬戸内の強い日差しと暑さの中ほっとする瞬間だ。この見晴らしのよい場所に井戸と中庭をもつ空き家が建っている。男木島の中でも比較的大きなその家は、聞くところによると島の中でも比較的裕福な家だったらしい。築150年のその家の中庭には、来訪者を迎え入れるようにピンクのバラが一輪咲いていた。玄関をくぐり建物内に一歩足を踏み入れると、目の前に天井まで届きそうな大きな作品が出迎えてくれる。

大きな輪が5つ重なり機械仕掛けで回転している。その輪の一つ一つに、かつてこの家の住人が生活する上で使っていた日用品や、大会の表彰盾、木彫りの熊といった記念品が取り付けられ、くるくる回ることで、これらのものが持つ記憶が動き出すような作品となっている。数年前に空き家となり、とまっていたこの家の時間がこの作家の作品により再び動き出し、新たなストーリーを作り出しているかのようだ。

作家の名前はリン・テンミャオ。中国出身の女性の作家だ。リンは、テキスタイルデザイナーとして、自らのキャリアをスタートさせたが、デザインという分野に自らやりたいこととのギャップがあり限界を感じ、後にアーティストへと方向転換をした。リンの夫は、中国の有名なビデオアーティストの王光新で二人の間には息子が一人いる。リンの作品において特徴的な材料は木綿の糸であり、この変幻自在な材質と金属など硬い材質をうまく融合する。また制作の主題は女性であり、古い中国の女性観と現代中国の生活のギャップから生まれる作品が多い。

アートフロントとの付き合いは比較的長く、2003年の大地の芸術祭では交流館キナーレ(現在の越後妻有里山現代美術館[キナーレ])で参加者が周囲を歩くことでさらに大きくなっていく巨大な糸玉の作品を発表している。また、2014年の市原アート×ミックスでは、廃校にあった備品と糸、骨を組み合わせた今回の作品の前身となるような不思議なオブジェ作品を展開していた。

この作家との共同制作も瀬戸内での制作で3度目となり、そのときその場所でしか作れないというサイトスペシフィックな作品をという、お互いの理解も深まってきている。作家は今回の作品の制作のために視察に訪れた際に、この家に残された品々を見て、ここに住んでいた人たちがどんな人で、どんな生活をしていたのかを想像しながら作品に使うものをより分けたそうだ。住人の暮らしに思いを馳せながら創ったリンの最新作を現場で是非堪能してほしい。

(レポート 庄司秀行)

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