馬場健太郎 / Primo

馬場健太郎の近年の作風は2種類に大別できます。ひとつはキャンバスに油彩で補色を幾重にも時間をかけ塗り重ね、鮮やかな赤や緑の平面をつくりだしたものです。青い作品の下にまったく異なる色層がかさねられることで重厚感が与えられるのと同時に、平面の中に不思議な奥行きや空気のような厚み、そして透明感をも感じさせる独特な光沢のある作品に仕上がっていきます。もう一つの作風は網目状にもりあがった下地にアクリル絵の具で色を塗り重ね、そして表面を削ったり磨いたりすることでできたコラージュのような作品群で、下地と色の偶発的な出会いによってできたボリュームのある作品です。両者に共通するのは作家が作品に時間をかけて手を加えてきた造作の痕跡だと思われます。ひとつひとつの作品から、時間の積み重りの温かみと透明感を感じてみてください。