展覧会Exhibition

滑川由夏 - A Place of Innocence
写真:「I had my whole life ahead of me」、2010年、ポリエチレン、170 × 250 × 450 mm

  • 滑川由夏 - A Place of Innocence

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滑川由夏 - A Place of Innocence

2011.12.6(火) - 12.25(日)

この度、アートフロントギャラリーでは滑川由夏による個展「A Place of innocence」を開催致します。
日程 2011.12.6(火) - 12.25(日)
営業時間 11:00~19:00 (月休)
会場 アートフロントギャラリー
イベント レセプション 12月20日(火) 18:30~20:00
作家在廊日 12月20日、21日、22日、23日、24日、25日
特別展示 12/20(火) - 12/25(日)の6日間のみ、大型インスタレーションの展示を行います。
滑川由夏は素朴ながら表情のある人物表現で知られている。ボリューム感のあるどこかユーモラスな人物像で、ひとりで座っていたり、壁にくっついていたり、全員で正座をしていたり、どこか現代の都市生活者(もちろん作品を見る観客もそこに含まれるわけであるが)、そうした人々の日常の動作の面白さがうまく表現された作品群であった。その作風は90年代から10年ほど続いていたが、それは若い作家生活の歳月を考えると長い期間といえるであろう。2007-08年頃からその作風が変化を示すようになる。人物が磨りガラスに閉じ込められたり、立体というよりは平面に近い透過性のある樹脂を使った作品も登場する。一度変わり始めると変化は速い。決定的な変化は2008年にロンドンへ渡り、翌年も文化庁新進芸術家海外派遣で同地に滞在した頃に訪れる。磨りガラスの中に閉じ込められてぼやける事はあったにせよ、それまでの作品には人が必ず表現されていたのに対し、人が不在の作品が作られ始めたのである。
人の代わりに現れたのは樹脂のキューブで建物を思わせるような作品であった。例えば2010年に作られた「I had my whole life ahead of me」。半透明なキューブが積み上げられ、中央に空洞が残る。地震を体験した今の私たちがこの作品に対峙する場合、特殊な読み方が可能になってゆくのだが、これは地震前に制作されている。私たちの目の前に提示された作品は光を透かし、人物不在の空間で、それはユーモアとか私達の感情をもって同一視しながら相対する対象ではなく、ポジティブにもネガティブとも捉えられない「もの」である。しかしそのタイトルが暗示するように、それでもどこかに人の気配を感じないだろうか。それまでこの作家によって描かれていた人物達がいつの間にか私たちの側に立ち、積み上げられた空洞を見ているのではないかとも思える。今回の展覧会のタイトルの「innocence」には無実、無邪気、無害などの意味がある。積み上げられたポリエチレンのキューブの形状や空間から私たちは好き勝手に様々なことを連想するであろう。まさにそれがアートの醍醐味ではないだろうか。今回の展覧会では滑川の人物作品像から半透明の樹脂作品、そして最近のキューブ状の立体作品まで、作家が日本に帰国してからまとまった形で展示される最初の展覧会となる。作家の思索の変遷や、作品と見る者の関係性の変化など、さまざまなことが今回の展覧会から見えてくることになるだろう。
アートフロントギャラリー 近藤 俊郎

【滑川由夏略歴】
1974 神奈川県生まれ
1997 多摩美術大学美術科彫刻科卒業
1999 東京藝術大学大学院美術研究科修了
2000 東京藝術大学大学院美術研究科研究生修了

■主な個展
2006 「新世代への視点 ’06」 ギャラリーなつか / 東京 ('02, '03, '04,)
2005 ギャラリー元町 / 東京
2000 スカイドア アートプレイス 青山 / 東京

■主なグループ展
2011 「団・DANS」  フレデリック・ハリスギャラリー / 東京
「Hierher Dorthin ?ここから、あちらから-」  ドイツ文化センター / 東京
「The Lounge」  銀座ブルガリタワー / 東京
2009 「 Florence Trust Summer Exhibition」 / ロンドン
2008 「The House ?現代アートの住み心地-」  日本ホームズ住宅展示場 / 東京
2007 「Face - Reflection of Color and Figure-」 ギャラリーコンセプト21 / 東京
「Love Art ! 2007 summer」 プロモアルテギャラリー / 東京

■コミッションワーク
2008-9 パークハイアット上海

■レジデンス
2009-10 文化庁新進芸術家海外派遣 / ロンドン
2005   ユネスコCAMACレジデンシー・プログラム / フランス

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