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マーリア・ヴィルッカラ個展:作品解説をアップしました
Critical Point (detail)
Critical Point (detail)
size: h1250 x w650 mm
medium: injections, acrylic board
Because of (installation view)
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size: variable
medium: swings (steel), 5 glass
Wait to be Fetched (installation view)
Wait to be Fetched (installation view)
size: variable
medium: video, mixed media

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マーリア・ヴィルッカラ個展:作品解説をアップしました

6月9日より7月9日まで開催中のマーリア・ヴィルッカラ個展。インスタレーション展示となった今回の作品解説をご紹介します。

もともと「知りたくないことを知っているということ」や「見たくないものが見えること」を表現してきたというヴィルッカラ。今回の展示では、生の儚さや脆さをテーマにしたといいます。

<Critical Point>

エントランス外から眺めると、大小さまざまな注射器が一斉にこちらに向き、注射針が窓ガラスに突き刺さっています。一見ラディカルなこの作品は、生と死の両方をもたらす「臨界点(critical point)」を表しています。
医療の現場では命を救うための道具になる一方、ドラッグの接種や殺人の凶器としては死をもたらす道具になりうる注射器。無機質な透明な空間の中にあって緊張感を感じます。

<Because of>

それぞれ高さの異なる4台のブランコが動いています。ブランコは無人で、代わりに水の入ったガラスの器がのっています。ガラスの器は遠心力で微動だにせず、中の水もほとんど水面が動きません。

ブランコのモチーフは今回が初めてではありません。大地の芸術祭で恒久設置されているヴィルッカラの作品「ブランコの家」があります。こちらはかつて展示場所の空き家に住んでいた3姉妹の思い出話をモチーフにしていました。一方で今回のようなホワイトキューブでの展示では、ガラスの器がバランスを崩すと簡単に割れてしまうであろう、子供の脆さや危うさを感じずにはいられません。

ちなみにブランコに乗っているガラスの器は、実はヴィルッカラのお父様、タピオ・ヴィルッカラがデザインしたものになります。タピオ・ヴィルッカラは長年フィンランドを代表するプロダクトデザイナーであったことで有名な方です。

<Wait to be Fetched>

2010年にフィンランドで死をテーマにした展覧会で使用されたプロジェクション作品をインスタレーションに再構成しました。鉛色の空を背景に、黒い馬車のワゴンが音もなく吊られて行くプロジェクションが、左右の壁に流れています。
吊られて動く馬車はそれぞれ反対方向にすれ違っていきます。両壁の間には、小さなシマウマがスポットライトを浴び宙に浮き、どっちにも行けず途方に暮れたようにみえます。

このインスタレーションは、東京で山手線のホームに上りと下りに挟まれたホームに立った時に感じた、大量の人々が自分に全く目を向けることもなく、電車に乗り降り過ぎ去っていく感覚を元にしているとのことです。

しまうまはヴィルッカラの作品ではしばしば登場する動物です。白と黒でどっちともつかない色を持っているところがお気に入りで、しばしば自分自身の擬人化に用いるとのこと。現在キナーレで展示中の「TIRAMI SU 3 : 私を持ち上げてーどうにかして」でも様々な動物の人形たちが宙に張られたワイヤーを行進していますが、これも先頭がシマウマになっています。もっとも、彼女自身は人を率いるよりも今回の展示のように、一匹で途方に暮れている感じのほうが自分らしいとのことです。

ヴィルッカラの展示は現在開催中の北アルプス国際芸術祭でもご覧いただけます。こちらは野外劇場の舞台を用いた、周囲の自然と共存した作品になっていますので、こちらも是非ご覧ください。アートフロントギャラリーでは北アルプス国際芸術祭のパスポート・ガイドブックも販売中です。

北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~
2017年6月4日(日)~7月30日(日) 57日間開催
北アルプス国際芸術祭2017公式サイト

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