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[インタビュー] 植葉香澄:ZEPHYR - a gentle wind from west
ギャラリー
現在開催中の植葉香澄展は、道ゆく人を惹きつける豪奢な生命感を醸し出しています。2019年のグループ展「春爛漫」以降、製作態度にも少し変化が出てきたという作家の今を語っていただきました。

"キメラボウル(バク)" 2020 / 陶 / 110x170x135mm (detail)
Q: 植葉さんの作品はキメラシリーズに代表される独特な造形に鮮やかな色彩が施されています。これらのイメージの源泉はどこにあるのですか?
私は作品を作る時にスケッチはしないのですが、頭の中にあるイメージを手を動かしながら作っていきます。手を動かしながら作ってると新たなイメージも湧いてくるのでどんどん自分の作りたいイメージのものになっていきます。
ギリシャ神話のキメラを見た時に自分の作っている作品に共通点のようなものを感じてそれからキメラというシリーズで架空の動物を作ってきました。
キメラエボリューションはキメラを擬人化してます。擬人化することでただの動物の立体という感じではなく物語性を感じることができるように感じます。

Q: 前回の「春爛漫展」では、犬や象が変形された作品が印象に残っていますが、今回は異文化の香が感じられます。
今展はシルクロードの3つのルートに関連するものをピックアップして自分の中でミックスして出来たイメージから作品を作りました。

"キメラエボリューション(飛天)" 2021 / 陶 / 430x480x280mm
キメラエボリューションの飛天の作品は敦煌の石窟の飛天のイメージです。
絵付けのモチーフには雲や風、羽衣をイメージしたラインや敦煌に見られる梨の木の花を描きました。
これは白を基調とし、彫りやかたちに目がいくように色を少なめにしてあります。

"キメラ(阿吽)" 2020 / 陶 / 420x480x250mm
Q: コロナで旅ができないだけに、異国へのあこがれが募るようですね。
阿吽のキメラは中国の獅子のイメージでイスラム圏のイメージのブルーの絵付けをしました。このような幾分シンメトリーな作品は以前から制作しています。

"morph(タコ)" 2018 / 陶 / 500x640x440mm
Q: キメラとともに、「morph」というシリーズもいくつかありますね。
morphとは変態をテーマにした作品です。また、見方によっていろんな風に見えるものを作りたく、または形の背後に動物が潜んでるというイメージなので何の動物か分かりにくくしてます。morphタコは、タコでもあり雲の形でもありますが、はっきりと何か分からない物体morphです。これは海のルートの作品になります。
"morph(孔雀)" 2020 / 陶 / 440x300x240mm
morph孔雀はトルコなどの装飾的なランプシェードのイメージですが、孔雀の立ち姿のイメージでもあります。絵付けで孔雀の羽を描き表してます。

"morph (駱駝)" 2021 / 陶 / 500x280x500mm
morphの駱駝はシルクロードの隊商の行き来に使われたラクダのイメージです。ペルシャ調の花の唐草でブルーと金で装飾し、エキゾチックな感じにしたかった作品です。
"キメラ(鳥)" 2021 / 陶 / 240x240x180mm
キメラのキウイバードもコバルトと彫ったベルトのような装飾部分は金のみでエキゾチックな感じにしました。

"Zephyros" 2020 / 陶 / 450x370x160mm
Zephyros はギリシャ神話に出てくる西の風神で、今回シルクロードをテーマとして制作していて西の風の神はぴったりなので制作しました。形のイメーシは中国の寺院の立像です。

"Mitra(太陽神)" 2021 / 陶 / 490x230x170mmm
Mitraは太陽神です。ミスラ(ミトラ)がシルクロードを東へ行き弥勒となったと言われてることから太陽神ミスラ(ミトラ)をイメージした太陽神の立像を制作しました。

展覧会タイトルのZephyrは西からの風という意味です。昨年旅行を計画していて叶いませんでしたが、西からの風を感じながら制作しました。
今回の展覧会は彩色や形において、様々なスタイルが入り混じったものとなっています。、それらの間を旅しながら味わっていただければ幸いです。
植葉香澄:ZEPHYR - a gentle wind from west
2021年1月13日(水)– 1月31日(日)