プロジェクトProject
作品解説:藤堂「筑豊ボタ」
ギャラリー
現在開催中の藤堂個展「筑豊ボタ」より、作家のコメントを交えて作品を紹介します。
幾重もの積層に込められた想い、そして、その素材が持つ記憶や時間への愛情が感じられる作家の言葉にもご注目ください。
「筑豊ボタ」2020 / 筑豊炭田産ボタ、積層ガラス
ドイツ留学時代から石炭を素材していた藤堂にとって、九州の筑豊炭鉱のボタ山から採ってきた捨て石を作品化することは長年の夢だった。
ボタとは石炭としては商品にならなかった捨て石を指すが、地域の人々にとっては、「ボタ拾い」といって使えそうなボタを拾い燃料に利用したり、セメントと共に石垣を作る材料にしたりと、かつては身近な存在だった。アーティストとしてこれをいわば「頭で」つくりあげるには数年の構想を要し、この地域出身の友人の協力を得て大量のボタを運んだという。
「僕にとっては宝箱だけど普通の人の感覚だったらやっぱりゴミ。この素材は人に見向きもされずに捨てられている石だけど、だからこそシンパシーを感じる。」
厚さ5~8mm の積層した窓ガラスを挟んでその周囲を磨きあげると隣接したごつごつした石の表面がつややかな光沢を放つ。ガラスの緑色は成分の鉄の色で自然に出る色だ。
2016年に瓦礫を使った作品でインスタレーションをしたときには光と透明感を意識して、ガラスが見えるように設置したが、今回は「あえて」(ゴミなのだから)キラキラしたガラスが表に見えてこないように箱の中に押し込めた。
「バロック真珠 on the ボタ on the 木箱(仮)」2020 / バロック真珠、ボタ、木箱、塗料 / 450 x 425 x 225 mm
宇和島出身の藤堂にとって真珠は近しい素材だ。真珠の養殖職人に実験的な真珠の養殖を依頼したこともあるという。今回は真珠の中で基準に満たないものとして処分される「バロック真珠」をもらい、同じく石炭になれなかったボタと組み合わせ、箱に載せることで共通点を見出す。
藤堂の個展「筑豊ボタ」は7月26日(日)まで。藤堂作品の世界をぜひ覗き込んでみてほしい。
ボタとは石炭としては商品にならなかった捨て石を指すが、地域の人々にとっては、「ボタ拾い」といって使えそうなボタを拾い燃料に利用したり、セメントと共に石垣を作る材料にしたりと、かつては身近な存在だった。アーティストとしてこれをいわば「頭で」つくりあげるには数年の構想を要し、この地域出身の友人の協力を得て大量のボタを運んだという。
「僕にとっては宝箱だけど普通の人の感覚だったらやっぱりゴミ。この素材は人に見向きもされずに捨てられている石だけど、だからこそシンパシーを感じる。」
厚さ5~8mm の積層した窓ガラスを挟んでその周囲を磨きあげると隣接したごつごつした石の表面がつややかな光沢を放つ。ガラスの緑色は成分の鉄の色で自然に出る色だ。
2016年に瓦礫を使った作品でインスタレーションをしたときには光と透明感を意識して、ガラスが見えるように設置したが、今回は「あえて」(ゴミなのだから)キラキラしたガラスが表に見えてこないように箱の中に押し込めた。
「バロック真珠 on the ボタ on the 木箱(仮)」2020 / バロック真珠、ボタ、木箱、塗料 / 450 x 425 x 225 mm
宇和島出身の藤堂にとって真珠は近しい素材だ。真珠の養殖職人に実験的な真珠の養殖を依頼したこともあるという。今回は真珠の中で基準に満たないものとして処分される「バロック真珠」をもらい、同じく石炭になれなかったボタと組み合わせ、箱に載せることで共通点を見出す。
藤堂の個展「筑豊ボタ」は7月26日(日)まで。藤堂作品の世界をぜひ覗き込んでみてほしい。
(photo by KIOKU Keizo / hiroshi noguchi / Art Front Gallery)