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蔡國強「船をつくる」 本日進水!

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蔡國強「船をつくる」 本日進水!

「東アジア文化都市 2016奈良市」で行われている、蔡國強のプロジェクト「船をつくる」の進捗が届きました。蔡國強は、中国から連れてきた8人の船大工たちと共に東大寺にて、古代の木造船を造ってきましたが、先日ついに完成いたしました。そして昨晩、製作チームは夜通しの作業を行い完成した木造船が東大寺の鏡池に進水しました。完成した船は10月末頃まで鏡池に浮かんだ姿を見ることができます。

日本には絵に描いたように美しいという表現がありますが、この作品はまさしくそのとおりで東大寺の歴史ある風景とあいまって新造の木造船が浮かぶ姿はまるでタイムスリップしたかのような感じであり、見るものにそのロマンを伝えてくれるものとなっています。是非お見逃しなく!

東アジアの国々の文化交流の象徴として造られた今回の"船"。
単純に古都奈良とつなげて考えると、奈良時代の船は遣唐使の船と思いがちですが、今回のこの船それより一周りも、ふた周りも小さい様子。実はこちら、遣唐使船ではなく、宋・元の時代の船を再現しています。宋・元といえば平安時代、鎌倉時代なので、奈良なのに平安時代?鎌倉時代?なぜだろうと首を傾げるかもしれません。

しかし、この船は間違いなく太古の昔よりつながるこの2国間の文化交流を象徴しているのです。というのも、歴史を紐解くと作品の設置されたここ東大寺の現存する建物たちは、1181年の南都焼き討ちの際に平家の平重衡の襲撃にあい焼失しており、鎌倉時代に再建されているのです。この際に再建された南大門に使われた石が中国からの輸送船の船底に敷いてあった錘だったといわれています。また、南大門にそびえたたつ運慶快慶の仁王像も、鎌倉時代のものですが、この時代の仏像は天平彫刻の写実に還るという理想のもと造られていたため、ここ東大寺にある仏像の多くは奈良時代に渡来した中国の影響を色濃く表わしているものなのです。

つまり我々が通常、奈良時代の遣隋使、遣唐使にて中国から伝わった天平文化が醸造されて花開いたのが日本の文化であり、その後の平安、鎌倉を見たときに、ほとんどの人がそのようにして成り立っていると考えていますが、歴史上の紆余曲折をも乗り越えながらも中国との交流は脈々と続いてきていたのです。中国人のアーティストの蔡は、日本人我々にそのことを教えてくれる作品を作りました。

写真は鏡池に写る船の様子です。

風の影響があるため通常帆は畳んでありますが、風のない穏やかな日は帆を上げることもあります。
日本と中国の文化交流の歴史を物語る象徴的な船が東大寺中門へと突き進んでいく、そのような光景に見えるかもしれません。

「東アジア文化都市2016奈良市」コア期間となる9月3日~10月23日には、「古都祝奈良(ことほぐなら)」として市内の社寺に、日本に文化を伝播した国々から第一線で活躍するアーティストを招聘して作品を展開します。

【参加作家】
蔡國強(中国)、キムスージャ(韓国)、川俣正(日本)、紫舟(日本)、シルパ・グプタ(インド)、サハンド・ヘサミヤン(イラン)、ダイアナ・アルハディド(シリア)、アイシャ・エルクメン(トルコ)

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