展覧会Exhibition

栗林隆 個展 「Deadline」
福島第一原子力発電所から500mの風景

  • 栗林隆 個展 「Deadline」

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栗林隆 個展 「Deadline」

2015.10.23(金) ? 11.29(日)

この度アートフロントギャラリーでは、栗林隆の個展「Deadline」を開催いたします。

スパイラル30周年記念事業展覧会 [スペクトラム ―いまを見つめ未来を探す]展に参加こちらをご覧ください。
日程 2015.10.23(金) ? 11.29(日)
営業時間 11:00 - 19:00 (月休)
会場 アートフロントギャラリー(代官山)
レセプション 2015年 10月23日(金)18:00-20:00
 栗林隆は武蔵野美術大学を卒業後、ドイツに滞在。2002年デュッセルドルフ・クンストアカデミーをマイスターシューラーとして修了する。東西に分かれていた歴史をもつドイツ滞在の影響もあり、「境界」をテーマに様々なメディアを使いながら制作を続けている。シンガポール国立博物館(2007)、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(2013)での個展をはじめ、シンガポール・ビエンナーレ(2006)など国際展への参加も多い。国内でも十和田市現代美術館に《ザンプランド》(2006)が恒久設置されている他、「ネイチャー・センス展」(森美術館、2010)などのグループ展にも数多く参加している。
 十和田や森美術館で目を惹いたのは木や水などを組み合わせながら景観を作り出す大掛かりなインスタレーションであろう。見る側はその風景を覗き込むようにして境界線を越えながら異なる世界を体験する。作品にはペンギンやアザラシといった動物がユーモラスに登場することもあるが、それらは水中と陸上を越境してゆく存在であると同時に作品に親しみやすさを与えている。

 2013年頃に拠点をインドネシアに移す。その為、ますます日本に留まらない国際的な地歩を築く作家という印象が強い。インドネシアの現代美術シーンは近年国際的にも注目されており、西欧のアートを咀嚼しながらもアジア的な表現を模索する作家が多い。栗林もそうした環境の刺激を受けながら自身のテーマ「境界」をますます進化させているのではないだろうか。「境界」というテーマは複層性を帯びていく。その一つの表れが2014年の市原Art×Mixの作品。ここでは冷凍機を校長室に設置し、直前まで使用されていたかのような部屋が凍らせられることで、時間が止まったかのように永遠に続く一瞬、見えないものが可視化されるようであった。また2015年のシンガポール美術館(SAM)の展示では再開発で伐採された木の幹や枝を分断しそれぞれを透明な箱に閉じ込めながら木の形を再現することで、失われたものを別な形で可視化している。流れる時間軸の中で見えるものと見えないもの、残るものとの残らないものなど、見る側に異なる領界を体験させながらこれまでの「境界」というテーマを軸にして多様に作品展開の可能性も広がっているようである。

 今年10月から11月、私達のいるヒルサイドテラスは建築家の槇文彦氏の展覧会の為、ギャラリーの一部も含め様々な場所が建築の展示で使用されることになる。それに合わせて私達がこの作家にインスタレーションをお願いしたのはこの作家が建築家とは全く異なる発想で空間を異質なものに大胆に変質させてくれるからであった。展覧会を前にして、栗林は震災後に東北を訪れた印象について私達に語ってくれた。こうした体験をもとに異次元に迷いこんだような空間展示を私達は見ることになるであろう。
アートフロントギャラリー 近藤俊郎

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