展覧会Exhibition
内海 聖史 : squid
2020年11月27日(金)– 12月27日(日)
この度アートフロントギャラリーでは、内海聖史の個展を開催致します。
日程 | 2020年11月27日(金)– 12月27日(日) |
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営業時間 | 水~金 12:00-19:00 / 土日 11:00 - 17:00 |
休廊日 | 月曜日、火曜日 |
作家在廊日 | 2020年11月27日(金)、12月27日(日) |
内海聖史は1977年生まれ、多摩美術大学大学院美術研究科を修了し、茨城県境町で制作を続けている。画面は丸い筆の痕跡を残した円で埋め尽くされている。比較的小さめの画面では、綿棒で何度も小さな点を重ねてよりかっちりとした画面を構成している。独自の作風を確立した色彩の画家、と目されることが多いが、同時に空間と鑑賞者と作品との関係性を常に模索しているようだ。
2012年のアートフロントギャラリーでの個展「方円の器」では、星型の作品や凸面のカーブを描いたモノクロ作品を展示し、四角いキャンバスから解放され自由度を獲得した絵画を証明してみせた。2016年の茨城県北芸術祭では空き店舗に縦10メートルの巨大な黄色い平面を現出させ、観る人はその「月」の周りを回遊した。2019年の上野の森美術館ギャラリーにてVOCA展と併設された展示では、重層的なパーツが斜めの波型に設置され、異なる視点から異なる見え方をする作品ができあがった。コロナ禍にあっても内海は「画家は制作を続けることしかできない」という。地元のふるさと納税に作品を提供する作家はそう多くはないだろうと思われるが、内海は境町と連携し、日本という土地での絵画、美術の成り立つ形をも模索する。パブリックスペースでも個人邸やクリニックでもその場所にしか成り立ちえない作品が、シンプルな作業の反復から生み出されるのだ。
今回内海の展示には、長年温めてきた「環世界」を背景としたコンセプトがある。生物は皆自身の知覚によって取り巻く世界を理解しているので、客観的に存在するかのようにみえる環境もあくまで主観的に形成されるものだという立場に立ってみれば、ひとりの画家の描く絵はどこかで繋がっているのかもしれない。実際、今回の展示ではまずギャラリー空間を壁によって斜めに分け、その両面に作品を展示する。見る人にとって異なった分節から成るその両面はそれでも同じ絵画であると認識されるのか。また、別の部屋にかかっている作品群も、その形状や色彩から類推される同一のものである気配を頼りに、各々がそれぞれの残像を繋ぎ合わせる編集作業によって、見る人それぞれの網膜上にて一体となる。
絵画のもつ制約や特性についてこれまで作家が考えてきたことの集大成的な展観になるはずだ。絵画の中にはいりこむことによってはじめて得られる体感をぜひ、味わっていただきたいと思う。
参考作品
2012年のアートフロントギャラリーでの個展「方円の器」では、星型の作品や凸面のカーブを描いたモノクロ作品を展示し、四角いキャンバスから解放され自由度を獲得した絵画を証明してみせた。2016年の茨城県北芸術祭では空き店舗に縦10メートルの巨大な黄色い平面を現出させ、観る人はその「月」の周りを回遊した。2019年の上野の森美術館ギャラリーにてVOCA展と併設された展示では、重層的なパーツが斜めの波型に設置され、異なる視点から異なる見え方をする作品ができあがった。コロナ禍にあっても内海は「画家は制作を続けることしかできない」という。地元のふるさと納税に作品を提供する作家はそう多くはないだろうと思われるが、内海は境町と連携し、日本という土地での絵画、美術の成り立つ形をも模索する。パブリックスペースでも個人邸やクリニックでもその場所にしか成り立ちえない作品が、シンプルな作業の反復から生み出されるのだ。
今回内海の展示には、長年温めてきた「環世界」を背景としたコンセプトがある。生物は皆自身の知覚によって取り巻く世界を理解しているので、客観的に存在するかのようにみえる環境もあくまで主観的に形成されるものだという立場に立ってみれば、ひとりの画家の描く絵はどこかで繋がっているのかもしれない。実際、今回の展示ではまずギャラリー空間を壁によって斜めに分け、その両面に作品を展示する。見る人にとって異なった分節から成るその両面はそれでも同じ絵画であると認識されるのか。また、別の部屋にかかっている作品群も、その形状や色彩から類推される同一のものである気配を頼りに、各々がそれぞれの残像を繋ぎ合わせる編集作業によって、見る人それぞれの網膜上にて一体となる。
絵画のもつ制約や特性についてこれまで作家が考えてきたことの集大成的な展観になるはずだ。絵画の中にはいりこむことによってはじめて得られる体感をぜひ、味わっていただきたいと思う。
参考作品