Gallery's Pick up for the Month （Art Fair Asia Fukuoka 2024）

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エコ・ヌグロホ / Eko Nugroho

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インドネシアを代表する現代美術家としてアジアだけでなく、ヨーロッパやアメリカなどでも活躍するエコ・ヌグロホ。1977年インドネシア・ジョグジャカルタに生まれ、Indonesian Art Institute 在学中の90年代末からキャリアを重ね活動を続けてきました。

1997年のアジア金融危機に続くスハルト政権の崩壊とインドネシアの民主主義への移行を経験した「レフォルマシ（Reformasi、改革）」世代の一人であるヌグロホは、突然現実的なものとなった表現の自由を享受し多様な作品を発表しつつも、作品には自身の政治社会的な意識が投影されています。

ジャワ島におけるアートの中心地ジョグジャカルタで制作されるヌグロホの作品からは、インドネシアの伝統と現代的なポップカルチャーの引用という二つの要素に基づいていることが分かります。伝統的なバティックと刺繍のスタイルを作品に取り入れる一方で、現代のストリートアート（グラフィティ等）をはじめ、コミック、日本の特撮からも強力なインスピレーションを受けています。ドローイングやペインティングのみならず、壁画、彫刻、アニメーション、タペストリーなど、さまざまなメディアで作品を制作しています。

その中で今回出品する作品は「刺繍絵画」（Embroidered Painting）と、アクリルのペインティングになります。刺繍絵画は、ヌグロホが描いたドローイングの上から直接、地元の職人たちがミシンで刺繍を施した作品です。

刺繍絵画制作風景

エコ・ヌグロホ　出品作品《We are a Home》2022 、刺繍絵画、275 x 157cm ⒸEko Nugroho　[ASK]

この作品《We are a Home》は、戦争、経済状況、人種差別、または他の差し迫った事情により、故郷を追われざるを得ない人々の状況について問いかけています。自分たちが住める新しい場所を探しつつ、宙ぶらりんの状態にある人々にとっての家という概念に、疑問を投げかけ、新しい土地でより良い場所を見つけるという希望を抱いて旅立つ一方、別の困難に直面しなければならない状況に遭遇します。
ヌグロホにとって家とは、去ることを余儀なくされた移民の身体と心の中にあり、具現化された一時的な「家」なのです。

エコ・ヌグロホ　出品作品《Our Desires are Monster》2023 、刺繍絵画、267 x 155 cm ⒸEko Nugroho　[ASK]

この作品《Our Desires are Monster》は、私たちの欲望や憧れが、怪物のような生き物、破壊するもの、抑圧するものの姿となって返ってくるという考えを明確に象徴しています。制御できない欲望は、恐ろしい怪物として表現され、私たち自身がその怪物になる可能性があることを示唆しています。
このような欲望は、欲望が怪物と化したために起こる戦争のように、人生を一変させる強い自我を作り出し、永遠に続きます。私たちが世界で目にする環境破壊や敵意も、制御できない欲望から生まれた怪物であると言えます。つまり、自分の欲望や憧れを理解し、意識しなければ、それは自分自身に敵対する恐ろしい怪物になりかねないということを表現しています。

エコ・ヌグロホ　出品作品《History Bubbling Itself with No Story》2022 、刺繍絵画、274 x 164 cm ⒸEko Nugroho　 [ASK]

この作品《History Bubbling Itself with No Story》は、歴史の無常について語っています。なぜなら、あらゆる重要な物語を持つ歴史そのものは、次の世代に物語を伝えなければ存在し得ないからです。歴史は伝播することもあれば、恐ろしいものでもあり、また美しいものでもあります。
歴史は泡（Bubble）でできており、私たちが物語を伝えなければ、泡は蒸発し、または消えてしまうということを表現しています。

エコ・ヌグロホ　出品作品《Look In The Mirror and Find Your Purpose》2024 、キャンバスにアクリル、150 x 150 cm ⒸEko Nugroho [ASK]

この作品《Look In The Mirror and Find Your Purpose》は、私たちが自分自身をどのように見ているか、希望、夢、願望について語っています。困難な状況に陥ったり、優柔不断になったりしたときでも、鏡を見てみようという前向きなメッセージを発信しています。
必要なのは、自分自身と自分の目的を見つめることだけです。また、未来の一歩のために前向きであることの意味を学び、掘り下げることについても表現しています。

エコ・ヌグロホ　出品作品《Mind Can Easily Change Into Monster》2024 、キャンバスにアクリル、150 x 150 cm ⒸEko Nugroho　 [ASK]

思考は私たちを簡単に怪物に変えてしまいます。私たちの頭の中にあるものは、身がすくむように恐ろしく、360度考えを変えて、今までと見分けがつかないような人間にすることもあります。
私たちの思考は視覚的に識別することができ、私たちの外見は私たちの思考を映し出す鏡だと言えます。

エコ・ヌグロホ出品作品《You and Me with Perception #1》2024 、キャンバスにアクリル、400 x 600 cm ⒸEko Nugroho

エコ・ヌグロホ出品作品《You and Me with Perception #2》2024 、キャンバスにアクリル、400 x 600 cm ⒸEko Nugroho

エコ・ヌグロホ出品作品　《You and Me with Perception #3》2024 、キャンバスにアクリル、400 x 600 cm ⒸEko Nugroho

エコ・ヌグロホ出品作品　《You and Me with Perception #4》2024 、キャンバスにアクリル、400 x 600 cm ⒸEko Nugroho　 [ASK]

この作品《You and Me with Perception》は、カップルや恋人たち、お互いを大切にする人たち、恋に落ちる人たち、幸せな人たち、一緒に暮らしたい人たちについての、野性的、いたずら好きで、独特な、普通ではない視点を視覚化しています。
また、時には不条理で、珍しく、奇妙で、規範や普通から外れているように見えるかもしれない関係や、そのような形のあらゆるものには、刺激的な空想や想像力があります。
この作品は、人間関係における空想の自由を象徴しています。

ヌグロホの作品は、社会的問題を想起させる物語性を含ませつつも、その地域の人々の顔が浮かんでくるような親しみやすさとユーモアのある世界観、そして力強い大胆な表現がとても魅力的です。ぜひ会場にて作品をご覧ください。

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■ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024
アートフロントギャラリー

会場
福岡国際センター（福岡県福岡市博多区築港本町2-2）

日程
VIP View
9/19(木) 13:00 – 19:00

Public View
9/20(金) 11:00 – 19:00
9/21(土) 11:00 – 19:00
9/22(日) 11:00 – 18:00

公式ウェブサイト

■FaN Week 2024
第22回 福岡アジア美術館
アーティスト・イン・レジデンスの成果展
空と地のはざまで

アーティスト：
エコ・ヌグロホ
会場：
Artist Cafe Fukuoka（福岡市中央区城内2-5）スタジオ、ギャラリー、グランド・スタジオほか
会期：
2024年9月14日(土)～9月29日(日)
開館時間：
11:00～17:00
休館日：
9月17日(火)、9月24日(火)
詳細はウェブサイトをご確認ください。
公式ウェブサイト

アートフェア会場（福岡国際センター）から徒歩約7分　マリンメッセ福岡に、パブリックアート完成！

https://www.marinemesse.or.jp/congress/topics/view.php?id=252