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中谷ミチコ 《デコボコの舟》:中原悌二郎賞、旭川彫刻美術館
2023/08/09
この度、中谷ミチコが前回のアートフロントギャラリーの個展で発表した作品《デコボコの舟》で第43回中原悌二郎賞を受賞しました。これまでの受賞者のなかで最年少での受賞となります。(中谷についてはこちら)
作家コメント
『デコボコの舟』という作品で中原悌二郎賞をいただきました。
この作品は、今まで自分が制作してきた中でも、最も、「彫刻」を作るという事を意識した作品であったと思うので、心から嬉しいです。
長い間、私にとって「彫刻」はコンプレックスでした。今も、そうかもしれません。作りたいけれど作りきれないものです。だから手を変え品を変え、なんとか自分なりの表現を手探りしてきました。何故なら私にとって「彫刻」は、この世界でマテリアルと、現実で闘う事、形づくる事であったからだと思います。実態のないイメージをどうしたらそのまま、この世界に実現できるのか。現実の時間や重力や素材や、私たちが暮らすこの地球の環境と時代の中で、形を与えてしまった瞬間にもとにあった浮遊するイメージの存在感は私の中から消えてしまうと感じていたからです。
その儚い、しかしどうしようもなく確実に存在する何かの在処を相変わらず探り続けているのですが、やっと正面から、(少しまだ無骨ではあるのですが)この手でそれを「彫刻」にすることが出来たのではないかと、『デコボコの舟』が完成したときに思ってしまいました。
大きくて、重い上に、繊細で壊れやすいし、変化しやすい。そのままの姿でこの舟が今、ここで地面に持ち上げられている事を現実に表したかったのです。
まだまだこれから、何かを凹凸の中で探しながら、私なりの方法を見つけていきたいと思います。
改めて、私の生活や、環境や、今まで頂いてきた出会いや、支えや、教えに心から感謝します。本当に有難うございました。
中谷ミチコ
中原悌二郎賞について
日本の近代彫刻史に優れた業績を残した旭川市ゆかりの彫刻家「中原悌二郎」を世間に広く知らせるとともに、日本の彫刻界の発展に貢献する目的で、1970年(昭和45年)に旭川市が開村80周年記念事業の1つとして始めた彫刻の全国賞です。
この賞は、日本国内で発表された日本人作家の優れた作品の中から、中原悌二郎賞1点、中原悌二郎賞優秀賞1点(2009年からは中原悌二郎賞1点のみの選考)を選び、中原悌二郎の誕生日である10月4日(又はその前後)に旭川市で贈呈式を行っています。
彫刻専門の賞としては、日本で最も長く続けられ、優れたものであると評価されており、受賞作品のコレクションは日本の現代彫刻の流れを一目で見渡すことができるものとなっています。