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Gallery's Picks for the Month(映像作品)

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Gallery's Picks for the Month(映像作品)

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2月2日(金)より、東京の冬の恒例アートイベント「恵比寿映像祭」が東京都写真美術館にて開催されます。アートフロントギャラリーは、本年も地域連携会場として参加。釘町彰 個展「From the Land of Men」のとあわせて、地域のアートスペースをめぐるシールラリーも設置します。

ここでは、恵比寿映像祭2024に関連して、アートフロントギャラリーで販売している釘町彰、ムニール・ファトゥミ、副島しのぶの映像作品を紹介します。


釘町彰 Akira Kugimachi

2月2日から代官山のアートフロントギャラリーで個展を開催する釘町彰は、サミュエル・バトラーの小説《Erewhon(エレホン)》からヒントを得た動画を発表しています。本作は我々の記憶の世界を動画の形で切り取る映像作品です。ディストピア小説の源流と目される小説のタイトルとなっていますが、スイス国境近くのガビ地方を車で走りながら、車窓からランダムに撮った連続シーンのプロセスを、そのまま映画のようなシークエンスとして映像作品として表現することを考えました。「これは私が偶然に出会った崇高なる風景との対話の軌跡であると同時に、ある未開文明との出会いを驚きと、尊敬と思慮をもって描き、今なお、現代文明に強い疑問意識を投げかける小説エレホンへの私なりの往復書簡でもある。」としています。


釘町彰《Erewhon》07min25 / 4K UHD / 2017(You Tube編集版)

そして、2月2日よりスタートする釘町彰 個展「From the Land of Men」では、平面作品上にビデオ投影をした作品を発表。新たなチャレンジを行いました。

《From the Land of Men》 2023 (11min11sec) Ver Double screen / HEVC Video 4K UHD on 《Air (Shein)》 2023 2357x3600x45mm 雲肌麻紙に墨、胡粉、天然岩絵具 (平面作品上にビデオ投影)

釘町は、幼少期をベルギーで過ごし、多摩美術大学院修了後、パリ第8大学でメディアアートや作品の基盤となる哲学を学び、世界を深めてきました。和紙と天然岩絵具を使い、「光、時間、距離」をコンセプトに風景画を描く釘町の現在地を、精選された平面作品と映像でお見せいたします。ぜひ代官山の会場にて、ご覧ください。

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ムニール・ファトゥミ Mounir Fatmi

ムニール・ファトゥミは、現在、箱根のポーラ美術館にて5月19日(日) まで開催中の「モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン」展に映像作品を展示します。展覧会タイトルの一部にもなっている《モダン・タイムス、ある機械の歴史》(2010年)という作品で日本では初公開の作品です。

ムニール・ファトゥミ《モダン・タイムス、ある機械の歴史》2010年 Photo: ©mounir fatmi 展示風景: ©︎ Ooki JINGU

展覧会は1925年のアール・デコ博覧会を起点として機械と人間との関係がこの100年でどのように変容してきたかを国内外多くの作品を通して問い直す壮大なテーマ展です。フェルナン・レジェやジョルジュ・デ・キリコなど美術館コレクションに加え、クラシックカーやアールデコのポスターが時代を映し出す中で、現代のアーティストの作品としてファトゥミが選ばれました。

ファトゥミはモロッコ出身のマルチ・メディアアーティストで、イスラム文化を背負いながら身近な問題を様々な方法で切り取り、作品そのものが現代社会への批評となっていることが多くあります。《モダン・タイムス》では円形に彫り込まれたアラビア文字が近代化に向かってそれぞれのスピードで前進するアラブ諸国を象徴するといいます。今回の展示に関し、作家から以下のようなメッセージが届いています。

「私にとって、円形のアラビア語のカリグラフィとして記したコーランの一節や預言者の助言と文章は、情報と知識を満載したコンピュータ・コードのように機能するものである。そこから、これらのメッセージの理解のために《モダン・タイムス》というビデオ・インスタレーションに組み込むことを思いついた。私は宗教書を開き、古代のテキストを現代の文脈で使うことにとても興味を持っている。そうすることで、新しい世代が古文書全般に興味を持つきっかけになればと思う。だからこそ私の作品の大部分は、テクノロジーとアーカイブをテーマにしているのだ。」

ぜひ美術館に足をはこび、機械と人間との長い歴史の文脈の中で作家の意図に思いを馳せてみてください。

■モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン
会期:2023年12月16日(土)~ 2024年5月19日(日) 会期中無休
会場:ポーラ美術館 展示室1,3
ウェブサイト

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副島 しのぶ Shinobu Soejima

先日、シンガポールで開催されたアートフェア ART SGのFILMプログラムでも作品《Blink in the Desert》を発表し活躍の場を広げている副島。彼女は、物質と霊魂の関係をテーマに立体アニメーションの映像を制作する注目の作家です。マレーシアで10代を過ごした副島は、アジアの民間伝承や民族文化、各文化圏特有の触覚的性質をリサーチし、非生命体に宿る生命感の発生について検討し表現することを試みています。

副島しのぶ《ケアンの首達》

<作家コメント>
ケアンの首達は2018年で私が初めて立体アニメーションをつくった作品になります。若くして亡くなった人が行きつく死後の世界をモチーフに、ナラティブな映像作品にしました。天国とか地獄と定型的な場所ではなく、死に行きつく一歩手前の、いわば死と生が宙づり状態の場所にたどり着いた霊体をイメージしています。自分の正体を失い彷徨う主人公が、失われた霊魂を求めて、土の中に埋もれた他の生物の頭部を掘り出し続ける果てしない作業を繰り返していきます。このような物語をあえて人形を使ったアニメーションで表現することは、主人公の人形性が、空洞化した内面や失われた自己を意味することができないかなと思ったのと同時に、物語を通じて、非生命体が生命感らしきものを獲得していく様を描くことができるのではと思いました。

「ケアン」には石積みという意味があります。それらはネパールなどの様々な国の山頂でよく見かけられ、それは慰霊であったり、道標、頂上を意味していたりするので、そこからケアンというのをとったんです。本作では石の代わりに鳥の首を主人公が地面から掘り起こし壁龕に入れていく作業や、賽の河原の石積みにイメージを重ねています。

この作品はedition 7で、special box も付属していますので、映像とともに楽しんでいただけたらと思います。

《ケアンの首達》スペシャルボックス(映像データと共に作品を構成)


副島しのぶ《ケアンの首達》(You Tube編集版)

副島しのぶについてはこちら



恵比寿映像祭2024「月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon」
Yebisu International Festival for Art & Alternative Visions 2024‟30 Ways to Go to the Moon”

会期
2024年2月2日(金)~2月18日(日)[15日間]
月曜休館〈ただし12日(月・振休)は開館し、13日(火)休館〉
※コミッション・プロジェクト(3F展示室)のみ3月24日(日)まで

時間
10:00–20:00(18日は18:00まで)
※2月20日(火)~3月24日(日)のコミッション・プロジェクトは月曜休館 10:00–18:00(木・金は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで

会場
東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所ほか

ウェブサイト

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