プロジェクトProject
Gallery's Picks for the Month (南飛騨 Art Discovery)
ギャラリー
[今月のピックアップ作品]
今月から、岐阜県下呂市にて11月24日まで開催する清流の国 文化探訪『南飛騨 Art Discovery』に参加している作家からギャラリー一押しの2名の作品を紹介します。芸術祭での作品解説も対にしてお届けします。コレクション作品と空間的な作品の違いもお楽しみ下さい。
釘町彰/Akira Kugimachi
1968年神奈川県生まれ/フランス在住。和紙と天然岩絵具を使い、「光、時間、距離」をコンセプトに、文明の起源や人と自然の関係を問う始原的なランドスケープを描いています。近年では映像作品も発表し、精緻な絵画と映像によるインスタレーションを展開しています。

釘町彰《来るべきもの》
≪作品について≫下呂市小坂にある巌立峡は約5万4千年前の御嶽山の噴火により流れ出た溶岩流の断面で、そこを訪れ感銘を受けた作家が、日本画の技法で描いた巌立峡の巨大なモノリスと彫刻、映像によるインスタレーションを制作しました。
「これまでも私は、死と生の兆し、人間不在の壮大な自然、そこに垣間見える原始の光を描こうと制作をしてきた。今回は、作品が装置となり、人間のDNAにある膨大な死と再生の記憶を呼び覚ます空間を作る。その空間に入ることで、その土地と自然、自身の生と外界、それらの時間すべてを感じてもらいたい」(作家コメント)。
自然にインスピレーションを受けた精妙巧緻な釘町彰の作品は、アートフロントギャラリーでも購入できます。

釘町彰《Air (Kiyotsu-kyō )》雲肌麻紙、墨、胡粉、天然岩絵具 970x1620x40mm, 2023
新潟 越後妻有の清津峡渓谷を取材し描いた本作は、雄大な柱状節理の岩肌と画面に時間の流れを与えるかのように描かれた流れる雲が印象的な作品です。
釘町は多くの作品で、各地を取材し、その場所を映像で記録、それらを元に作品を構成させていく制作スタイルをとっています。その作品からは、描かれた風景が経てきた膨大な時間と、悠然と存在する圧倒的な存在感を感じることができるようです。また、緻密に描かれた細部にも是非ご注目ください。

釘町彰《Air (Demogorgon)》雲肌麻紙、墨、胡粉、天然岩絵具 530x410x23mm, 2024
田中望/Nozomi Tanaka
1989年宮城県仙台市出身/山形県山形市在住。自ら中山間地域に住みながら、採集の歴史と技術を研究し、採集生活で得た材料、経験をもとに絵画的に作品を表現しています。

田中望《あなたの根を知る》
≪作品について≫今回、会場にある こけのみち(旧薬草園)にはかつて400種類の薬草が植えられ、その多くが根付かなかったといいます。そこで、植物が根付くこと・根付かないことと、人が地域に根付くこと・根付かないことを比較し、人間にとっての根っことは何かを考察する作品を展開します。こけのみちに根付いた植物の瓶づめや、民家の元住民にインタビューを行い「人間の根っこの瓶づめ」を制作、その過程をアニメーションで映し出します。
日本の土着的な風景にどこか懐かしさやストーリーを感じさせる田中望の作品は、アートフロントギャラリーでも購入できます。

田中望《うさぎの山薬や》パネル、胡粉ジェッソ・水干・墨・箔 450x610x35mm, 2022

田中望《ゼンマイ》パネル、胡粉ジェッソ・水干・墨・箔 270x220x20mm, 2022
《うさぎの山薬や》とゼンマイ》は、2022年にアートフロントギャラリーで開催した個展にて発表された作品です。古くは万葉集にも記載された言葉「山づと(山包)」と題して展開された本展では、「山からのお土産」をテーマにした作品を制作。当時、自ら中山間地域に住みながら、採集の歴史と技術を研究していた田中が身をもって体験し取材するジャーナリスティックな視点と、実際にその土地に赴き住民から聞き出す物語(話をすることによって引き出される民俗学的リサーチの結果)という独自のリアリティーによって、ストーリー性の高い絵画作品を発表しました。
そして今回は、岐阜県 南飛騨にて現地をリサーチし、その土地を田中独自のストーリー性をもって表現します。

清流の国 文化探訪『南飛騨 Art Discovery』 MAP
清流の国 文化探訪『南飛騨 Art Discovery』
期間:2024年10月19日(土)~11月24日(日)
時間:10月(10 / 19〜31)10:00 - 16:30/11月(11 / 1 〜24)10:00 - 16:00
会場:南飛騨健康増進センター 一帯(岐阜県下呂市萩原町四美 1557-3)
21 組のアーティストによる「健康/福祉」、「岐阜の自然」、「岐阜の匠」を表現する作品と、会期中のハイライトとなるパフォーマンスイベントを行います。
参加作家:
内山翔二郎、EBUNE×あぐり、遠藤利克、鬼太鼓座、釘町彰、クワクボリョウタ、contact Gonzo、坂田桃歌、鈴木初音、田中望、田中泯、津野青嵐、中崎透(※崎は正しくは「たつさき」)、西澤利高、平野真美、船川翔司、堀田千尋、巻上公一、山内亮二、弓指寛治、渡辺泰幸+渡辺さよ
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