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Gallery's Picks for the Month(金氏徹平「S.F. (Something Falling/Floating)」)

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Gallery's Picks for the Month(金氏徹平「S.F. (Something Falling/Floating)」)

ギャラリー

2022.04.16.SAT. - 2022.06.26.SUN.

世界の形態が変容する今、金氏徹平が新たに「彫刻」を問う!

金氏徹平の大型個展「S.F. (Something Falling/Floating)」が4月16日より千葉県の市原湖畔美術館にて開催されます。それにあたり、これまで金氏が制作してきた作品の中から、今回の個展に通ずる作品シリーズを紹介します。個展では、今まさに制作中の新作も多数展示される予定です。旧作からの流れと共にどうぞご期待ください。(作品購入お問い合わせ:contact@artfrontgallery.com

日程 2022.04.16.SAT. - 2022.06.26.SUN.
展覧会 金氏徹平  S.F. (Something Falling/Floating)
会場 市原湖畔美術館 (〒290-0554 千葉県市原市不入 75-1)
https://is.gd/0VH99E
【作家メッセージ】
この展覧会は、僕がこの 5~6 年の間に取り組んできた様々なコラボレーションや、領域の横断、芸術祭などにおけるサイトスペシフィックなプロジェクト、もしくは世界の形態の変容を踏まえて、個人的な営みや空間から始める新たな" 彫刻" についてのインスタレーションになると思います。

"不安もしくは不安定な時代" という言い方がありますが、僕の知っている限りでも歴史的にも、そうでなかった時などないのではないかと思います。その中で、既存の物から意味や価値が無くなっていく過程のあるポイントと、形を持たない物に意味や価値が新しく生じる過程のあるポイントが正反対のベクトルの中で一致する瞬間のようなものを塊にしていくことにリアリティがあると考えています。それは「自然」と「人為」の関係でもあり、目には見えていないものがいつでも漂っていて、あらゆる境界線をくぐり抜けて攪拌させている状態でもあります。例えば、降雪にしても、洪水にしても、ウイルスにしても、その形について考えると、それは人や都市や社会の形をしているのではないでしょうか。
――金氏徹平

彫刻への原点回帰

《Smoke and Fog(マテリアルのユーレイ)#38 》2021 プラスチック製品、金属製品、石粉粘土、塗料 680x330x400mm price: ASK

2021年のアートフロントギャラリーの個展でも発表された《Smoke and Fog(マテリアルのユーレイ)#38 》は、様々なコラボレーションを経て、金氏が彫刻への原点回帰に向かった作品の一つです。モノトーンのいろいろな素材を掛け合わせて彫刻を作る。モノ本来の機能を活かしたり、活かさなかったり、形を関連付けたり、付けなかったり―。違和感と調和の試行の中で形を作っていく。作品に開けられた穴も金属などの素材と同様、作品を構成するモノトーンの物質として扱っています。

タイトルの「Smoke and Fog」(煙と霧)というのは、全く異なるが似ているものが混ざり合っているイメージに由来します。そのような状況を想像することは、架空のフィクションでもありうるし、現実の素材を使ったフィクションでもありうる。想像するという行為こそが金氏作品全般に共通している事なのです。

「マテリアルのユーレイ」という言葉には、異なる物質を掛け合わせ、意味や用途を無くしたり繋げたりするなかで、物質感が宙に浮いた状態になる事への期待が込められているのではないでしょうか。

「マテリアルのユーレイ」シリーズは、2017年に宮城県石巻市で開催された「Reborn-Art Festival 2017」では《ボイルド空想(マテリアルのユーレイ/⽯巻)#1、#2、#3、#4》としてつくっています。

「この地域では壊れた建物や道路などの破片と、これからつくられる建物や道路の素材をいろいろな状態で目にします。それらを使って、壊れることとつくること、意味と無意味、設置と放置、聖と俗、それらが同時に起こっているような状態をつくっています。手に取れる物質でできたユーレイや、溶けるまでのタイムスケールが違う雪だるまのような。(金氏)」

参考作品《ボイルド空想(マテリアルのユーレイ/⽯巻)#1、#2、#3、#4》Reborn-Art Festival 2017(旧荻浜小学校)

雪だるまをイメージさせる印象深い作品に、「大地の芸術祭2018」に参加した際に信濃川の石と出会い制作した《Summer Fiction(River Stone)》があります。2018年のアートフロントギャラリーでの個展に出品された本作について金氏は次のように語っています。

「信濃川の石は、まんまるとしていてかわいいので素材にしたいと思いました。石をかたどりして、白い樹脂にして石の上に載せています。雪だるまに見えると思いますが、雪が積もっている状態のことをテーマにした彫刻作品にしたいと考えて制作しました。降り積もっている雪の形は、その下にあるものに影響されてうまれる形です。いってみれば、積雪が生み出した形の原型が下にあるわけです。この石の作品では、そういった状態を表現しています。石を組み合わせることで、時間の感覚も複雑にさせています。石が長い年月をかけてこの形になるまでのタイムスケールと、寒くなると雪が降って形が生まれて、暖かくなるとそれがすべて消えてなくなってしまうことを繰り返しているタイムスケールとを同時にみせたいと考えました。(金氏)」

《Summer Fiction(River Stone) #10》 255 x 130 x 120 mm / 信濃川の石、FRP / 2018 price: ASK

個展「Summer Fiction」アートフロントギャラリー / 2018


雪と金氏徹平


また、同展では「雪」をテーマにした平面作品も発表されました。《Games,Dance & the Constructions (snowplow) 》シリーズは、豪雪地帯である越後妻有地域をリサーチし、地元の方の「雪があるとないとで全く違う世界になってしまう」という言葉に着想を得た作品です。

「面白いと思ったのは、人工的な雪山です。写真作品や映像でも取り上げていますが、汚い灰色の雪山ですが、除雪機がつくったものです。巨大なショッピングセンターの駐車場ごとに、人工の巨大な雪山ができている。除雪した雪を溜めておく場所がないので、広い敷地内に山を作るのです。それが不思議な存在感があって、人間と巨大な自然現象のぶつかり合いというか、ある意味で人間と自然との共存の姿というか、自然との関係性の中で生まれた造形物に圧倒されました。(金氏)」

《Games,Dance & the Constructions (snowplow) #7》625x825x47 mm / 写真、アクリルにシルクスクリーン / 2018 price: ASK

《Games,Dance & the Constructions (snowplow) #3》927x1177x47 mm / 写真、アクリルにシルクスクリーン / 2018 price: ASK

《Games,Dance & the Constructions (snowplow)》には、金氏が子どものころに読んでいた70-80年代のSFマンガのイメージがコラージュされています。この時代のマンガは、現在よりも背景の書き込みが細かく、より豊かな世界、未来をマンガを通して見せようとしていたとマンガ研究者は言います。コラージュに使用している赤、オレンジ、緑、黄などの色は除雪機のボディの色をイメージしています。妻有と金氏のコラボレーションによって生まれた作品と言えるでしょう。

「雪」というキーワードで忘れてはいけない作品として「White Discharge」があります。まったく異なる性質をもつありふれた日用品を、それぞれの形状を変えることなく積み上げ再構築したうえで、表面を白い樹脂で覆う―—―それによって「個体」の定義の曖昧さ、共存する複数のものの境界の曖昧さを視覚化させる作品です。降り積もる雪景色からもインスピレーションを得ている本シリーズは、東京都現代美術館や豊田市美術館、横浜美術館などにも収蔵されている金氏作品を代表するシリーズでもあります。

《White Discharge(フィギュア / 8)》プラスチック製品、ポリエステル樹脂 price: ASK



4月16日からスタートする個展「S.F. (Something Falling/Floating)」では、これまで様々な展開を経てきた金氏徹平の最新作がご覧いただけます。ぜひ、ご期待ください。

金氏徹平 S.F. (Something Falling/Floating)
2022.04.16.SAT. - 2022.06.26.SUN.

ワークショップ
「金氏徹平さんとS.F.彫刻について考えて、つくる」

イベント
オープニングトーク「変容する世界の中で」金氏徹平×村田沙耶香(小説家)

作品購入お問い合わせ:contact@artfrontgallery.com














アーティスト

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