展覧会Exhibition

金氏徹平:S.F.(Smoke and Fog)
《Model of Something #7》2014

  • 金氏徹平:S.F.(Smoke and Fog)

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金氏徹平:S.F.(Smoke and Fog)

2021年9月10日(金) – 10月3日(日)

この度アートフロントギャラリーでは、金氏徹平の個展を開催致します。
日程 2021年9月10日(金) – 10月3日(日)
営業時間 水~金 12:00-19:00 / 土日および9月23日(木祝)11:00-17:00※短縮営業
休廊日 月曜、火曜
作家在廊 2021年9月10日(金) 15:00-16:30
金氏徹平は1978年生まれ。2003年に京都市立芸術大学大学院彫刻専攻を修了し、現在も京都を拠点に活動しています。

これまで金氏は、プラスチック製品やフィギア、雑誌やマンガの切り抜きなど、身のまわりの事物を素材に、部分を切り抜き繋ぎ合わせることで、既存の文脈を読み替えるコラージュ的手法を用いて作品を制作してきました。その表現形態は彫刻、絵画、映像、写真など多岐にわたり、一貫して物質とイメージの関係を顕在化する造形システムの考案を探求しています。近年では舞台にも積極的に関わり『tower-(THEATER)』(KYOTO EXPERIMENT/2017、Bankart/2017、六本木アートナイト/2018)では自身の映像作品を舞台化する形で演出を手掛け、セノグラフィー(舞台美術)として演劇ユニット チェルフィッチュとともに発表した作品、劇場版『消しゴム山』(KYOTO EXPERIMENT/2019)・美術館版『消しゴム森』(金沢21世紀美術館/2020)・配信版『消しゴム山は見ている』(2020)では同一テーマの作品を鑑賞形式を変えて発表するなど、表現の領域をますます拡張しています。

今回のアートフロントギャラリーでの展示は、今年金氏が参加する「奥能登国際芸術祭2020+」(9/4〜10/24、石川県珠洲市)と連動した形で開催します。

日本海に突き出る能登半島の最先端に位置する珠洲市を視察する中で金氏が注目したのは、海からいくつもの違う方向の遠くを想像できる環境であるという事と、町中に巨大なキリコ倉庫(伝統的なお祭りの為の燈籠であるキリコを収納する倉庫)がたくさん点在しているという事でした。珠洲との出会いは、「いま、ここで、いま、ここではない場所や状態を想像させるこの地で、それらがすぐ隣に存在し続けていることを感じながら生きていく」という事について、思考を巡らせるきっかけになったと言います。

以前より2次元と3次元、内と外、嘘と本当、常時と非常時、、、対極ではあるけれど、明確な形や境界線は無いようなことが混ざり合って一つの状況や構造を作ることを想像することで、造形のチャンスとしてきた金氏が、珠洲では町を巡って感じた事物を軸に表現します。風景や町中に架空のキリコ倉庫を想像するためのインスタレーションを設置する予定です。

そして、東京のギャラリーではそのコンセプトと共通した、都市の中のキリコ倉庫的な作品を展開します。最新作とともに2013-14年にシンガポールの版画工房STPIで制作した作品群(日本初公開)からもキリコ倉庫的な作品を展示。これまでの金氏作品の一貫性がより感じられる展覧会となるでしょう。どうぞご期待ください。

穴を穿つ
神谷幸江(ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク ギャラリー・ディレクター)

 孤独なスタジオ制作から生まれた金氏徹平の《Tower》(2001-)は、進化する彼の自画像のようでもある。石積みの壁を自身の「殻(シェルター)」に重ねて描いたドローイングは、その後映像となって動き出し(2009)、さらには立体化し舞台装置になった(2017)。その度に《Tower》には「穴」が穿たれた。穴を通じて内側と外側、「こちら」と「あちら」が生まれ、奥行きと他者につながる回路ができた。

 金氏の真骨頂はコラボレーションしたプロジェクトで見せる予想を超えた飛躍にあると言っていい。コラージュを主な手法としてきたアーティストだ。印刷物やマンガ、スクリーントーンといった既存のイメージとイメージ、日用品やフィギュアなど既成のモノとモノ、ジャンルや表現メディアの異なるヒトとヒトをくっつけて、思いがけない文脈で、本来の意味や用途を逸脱した作品を展開してきた。コラボレーションは「関係性のコラージュ」であるから、なるほど金氏はここに才を放つ。特に2011年以来度々タッグを組んできた演劇作家・岡田利規との舞台作品(*)は、金氏によるモノとモノとの組み合わせに、ヒトの介在が紡ぎ出す言葉と動きが、彼らの意志や発想に委ねた新たな関係性を付け加え、金氏の初期設定を超えて成長を遂げる。というより金氏は他者のいかなる解釈にも寛容な余白を与え、自由な可能性と接続する回路を開く。そう、彼は回路=どこかにつながる「穴」を穿つ名人なのだ。

 ゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)は70年代、都市に放置された建造物に穴を穿った。ニューヨーク、ハドソン川52番埠頭の倉庫に(《日の終わり》1975)、パリ、ポンピドゥーセンター建設を前に解体される17世紀の建物に(《円錐の交差》1975)、再開発に伴い追い出された住民が割ったアパートの窓ガラスに開いた穴にも目をやった(《ウィンドウ・ブロウ・アウト》1978)。穴は既存の都市空間への視点の転換、制度やパワーへの問題提起、他者やコミュニティーの介入を招き入れる余白の創出を促すものであった。

 金氏もまた町の中に穴を穿つ試みを、石川県珠洲市で進行させている。看板、タンクといった町に点在する既存の構造物に大型写真貼り付け、金氏作品へとスクオットしてしまうのだ。この土地の祭りで使うキリコ燈籠の存在にインスピレーションを受けたという、金氏流のキリコ燈籠がこうして姿を現す。そこには穴から流れ出す液体、ヌッと突き出る棒や石や手といったイメージがコラージュされ風景に穿たれ、このまわりに集う人々と新たな関わりの回路を築くべく誘っている。

(* )家電のように解り合えない(2011、あうるすぽっと), わかったさんのクッキー(2016, KAAT)、消しゴム山(2019、京都国際舞台芸術祭/2020, NYU Skirball, NY)、消しゴム森(2020、金沢21世紀美術館)

《Smoke and Fog (Murano) 》 2015 / プラスチック製品、ガラス製品、ヴェネチアングラス(Berengo studio蔵)

《Games, Dance and the Constructions (Plywood) #2》2014 / 合板にシルクスクリーンプリント

アーティスト

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