《Limelight Project Plan (13)》1985 バルサ材、アクリル、合板 810x1220x100mm
このプロジェクトのマケットで残っている80年代の貴重な作品が《Limelight Project Plan (13)》です。関係者と重ねられた討議の証左でもあり、またファサードのかなり高い位置に積み上げられた木材が白いペイントで塗られた建物に介入しています。川俣によれば、日中の静けさと夜若者の集まるディスコとして機能する元教会のギャップが面白かったそうで、そうした80年代の熱気が伝わってくるようです。
《Installation for Hara Museum Arc (A-7)》1990 バルサ材、アクリル、合板 810x1220x80mm
川俣正 "Under the Water" 展示風景、ポンピドゥー・センター・メス、2016 photo by the artist, Tadashi Kawamata 川俣正撮影
近年の川俣の代表的なプロジェクトに、2016年にポンピドゥー・センター・メスで開催された個展、《Under the water》があります。東日本大震災が起こった後に開催された同展は自然災害を表現した例といえるでしょう。この大型インスタレーションは扉やイス、窓、既に当初の姿をとどめていないような木製の瓦礫によって構成されています。作品全体が見るものに強く訴えてくるのは、2011年3月に日本を襲った巨大な津波の前後に、水の中で人々が何を見たのか、どのようにこの世界が見えたのかという視点と、地震で破壊された建物や崩れた何トンもの瓦礫が水面を覆いかぶさる中で、永遠にその水面には浮き上がってこられないという絶望的で希望が断たれた感覚です。
《Tsunami No.19》 2016 パネル、木、メタル、ペイント 1530 x 2100 x 80mm