ニュースNews
川俣 正 @ BankART、横浜
2020/09/10
9月11日(金)より、川俣正の個展「都市への挿入」が横浜のBankARTにて開催されます。
(川俣に関しては こちら)
2020年、現在を想う
今回、横浜のBankARTからプロジェクトを依頼された。2012年に以前の建物が倉庫だったことから、その内外に運送用パレットを使ってインスタレーションを行った。それから8年ぶりに新たなBankARTの建物とその周辺で、何か行えないかとの事だった。
昨年、いくつか候補地を訪ね、横浜美術館周辺の変貌ぶりに驚いた。また市役所も移転され、どこにいってもまさに工事の真っ最中だった。こうした変貌する現在進行形の横浜を想定してプランを作った。
工事前のフェンスに囲まれた空き地、歩道橋の踊り場などを工事用フェンスと単管を組み立てて、架設の工事現場を作ることを考えた。最終的に使用許可の下りた駅構内と歴史建造物として使用されている建物の内外の2箇所で、組み立てることとなった。
現在この周辺で行われている多くの工事現場の中に、工事現場を装った場をその中に入れ込む。工事をしない工事現場。工事をするように見せてるだけの偽りの現場。そしてそこに人が入りこむことが出来る。単管が組まれ、鉄板の塀で囲まれた構造物の中を、人は恐る恐る入り込む。
通常の工事現場では、一般の人は中に入ることすら許されない。鉄の素材の剥き出しの荒々しい殺伐とした空間に、人は何を見るのだろうか。
多くの人は、工事が終わり、現代的で洗練され清潔で優雅な建物の空間に囲まれ、その中で都市での生活を満喫する。
現代は、ますます不浄なものや汚く危なっかしい場や物事がブリーチアウトされ、無臭の空間が広がっている。セキュリティーの名のもとに、全てがコントロールされた管理社会の中で、身を潜めて暮らすことが、自由を確保する唯一の手段であるかの様に。
この様な都市の状況と現在のコロナ禍の中で、はたして一体何が出来るのかをここでもう一度考えてみたい。
2020年9月
川俣 正
■BankART Life VI「都市への挿入」 川俣 正
会期:2020年9月11日[金]~10月11日[日]
会場:BankART Station(みなとみらい線「新高島」駅B1F / 〒220-0012横浜市西区みなとみらい5-1)、BankART Temporary (〒231-8315 神奈川県横浜市中区本町6-50-1)、馬車道駅構内