プロジェクトProject
川俣正 作品紹介:アメリカにおける初期プロジェクト作品
ギャラリー
残すところ日曜日までとなった川俣展。今回は新作に加えて、国内外の伝説的なプロジェクト等をモチーフとした初期作品も展示販売しております。ここではその中でも、アメリカで制作した作品にフォーカスしてご紹介します。
川俣は1984年から85年にかけてP.S.1の国際スタジオ・プログラムのレジデンスに選ばれ、そこでの出会いをきっかけとしてその後ニューヨークでプロジェクトが多く展開することになった。教会を改築してディスコになっていたライムライトのアートディレクターがある日川俣のスタジオを訪問し、既に日本で作られていた「テトラハウス」の写真を見ながら、ライムライトでも何かやってみないかと持ちかけたという。ミーティングを重ね、川俣は教会のファサードなどを覆うプランを出したが、この建物全体が市のランドマークに指定されていたためなかなか許可が下りなかった。ようやく許可が下りたものの、展示期間は1985年の1か月あまりで解体された。

Installation view, Limelight project 1985
P.S.1から発したさらに大規模なプロジェクトがルーズベルトアイランドである。川俣のレジデンスの期間とちょうど同じ頃、P.S.1のキュレーターだったクラウディア・ゴールドが早くから川俣の才能を見抜き、この島にアートを制作する作家のひとりとして彼を選んだ。結果的には実現したプロジェクトは川俣のものだけで、それも場所の交渉に5年の歳月がかかるという厳しい内容だった。川俣によれば、「あの頃は地域に対して考古学的な見方をすることに興味があって、場所の持つ歴史的な背景を再発見するというか、アートプロジェクトの中でその場所の以前の様子を積極的に使うことで、その場所を違ったものにしようとしました。ルーズベルト島は、調べていくと、百年前にハンセン病患者の隔離病棟があったり、その島自体が歴史的意味を持っていたりします。そういうことを調べて、アートのプロジェクトをやることで、まったく知らなかったことを知ることができましたし、それに対して、周りの人たちもその場所に対しての見方が変わってくるという反応が面白かったですね。」(Art-it インタビューby アンドリュー・マークル、2011年)

Project on Roosevelt Island 1992
240 x 600 x 20cm 合板にバルサ材
実際、6メートルの幅をもつルーズベルトのマケットは、大型のプランとして残る貴重な作品で、ニューヨーク街なかの工事現場からかき集めたという木材を惜しみなく投入して歴史的なサイトに果敢に乗り込んだ川俣の意気込みを表している。その後につながるファヴェーラ風の小屋も点在し、遠くから見れば一つの巨大な生き物のようにも見えてくる。木材を積み重ねて面を構成し、うねりを生み出す手法は今回の「工事中」再開のインスタレーションにも連なっているのかもしれない。

Installation view, Project on Roosevelt Island
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