プロジェクトProject
Gallery's Picks for the Month (パークホテル東京企画展示Vol.2)
ギャラリー
開催中- 2023年11月19日(日)
現在、汐留メディアタワーにあるパークホテル東京にて、11月19日まで「季節展示(アートカラーズ)VOL. 40 2023 夏-秋 あめつちのうた展」を開催中です。テーマを4つに分け、18名の作家、30作以上の作品を展示・販売をしております。
その中から今回は、アーティストルームも制作中の青山夢、田中望、秋の展示替えで新たな作品も加わった角文平、阿部岳史の作品を紹介します。
★作品のお問い合わせ:contact@artfrontgallery.com
★Vol.1の作品紹介はこちら
日程 | 開催中- 2023年11月19日(日) |
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会場 | 〒105-7227 東京都港区東新橋1丁目7−1 汐留メディアタワー フロント25F |
展覧会ウェブサイト | https://parkhoteltokyo.com/ja/art-colours/vol40/ |
テーマ:「日本の美が体感できる時空間」
パークホテル東京は、「日本の美意識が体感できる時空間」をコンセプトに様々なアートを紹介しています。
その中で、今回は「あめつちのうた展」と題した展示・販売を開催中です。また、25Fの共用部での展示だけではなく、客室が丸ごとアート作品になる「アーティストルーム」プロジェクトも2人の作家が滞在しながら制作を進めています。
25Fの共用部・アトリウムで開催中の「あめつちのうた展」では、日本の美意識を「祝祭、季節の変化(四季)」「現代美術✕遊び(遊び)」「色彩と感情(恋)」「工芸✕アート(思)」4つのテーマにわけて展示しています。展示は、宿泊客でなくても自由にご入場いただき、鑑賞できます。展示作品は購入も可能です(一部作品を除く)。
パークホテル東京25Fの素敵な見晴らしとあわせて、共用部・アトリウムにて様々な「日本の美」を体験してみてはいかがでしょうか。
青山 夢 Yume Aoyama
青山は、1997年茨城県に生まれ、東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻絵画研究領域を修了しました。
在学中より、3331 ARTFAIR TOHOKUCALLING(アーツ千代田3331)に参加。同年、初個展“不条理を凝視せよ”(コート・ギャラリー国立)、第72回二紀展二紀賞一般の部最優秀賞受賞しています。
これまで青山は、山形県村山地方の供養習俗であるムカサリ絵馬の取材を通し、人々が自然と暮らす環境の中で、人の死を思う普遍的な形式をモチーフにして作品をつくってきました。
現代生活を神話学的思考で捉え、治癒と破壊を繰り返す人間と自然の共生について研究中。災いが起きても、境界なく入り混じる獣に興味を持ち、廃棄手前のさまざまな獣の皮膚や毛を素材に作品を制作しています。

《Sunday》2022年 / h415×w325×d50mm / シルク、アクリル、糸
本展覧会では、ホテル客室丸ごとがアート作品になる「アーティスト・ルーム」にも参加。”郷土玩具”をテーマに、ワクワクする客室を制作中です。本展会期終了後には、宿泊も可能な客室となります。ご期待ください。

制作風景
<作家コメント>
“郷土玩具”は、江戸時代から明治時代にかけて、子どもたちがすくすくと育つことを願い、紙や木など、身近な素材を使って、各地で楽しい人形や玩具が作られました。それらは、日本各地の暮らしの中から生まれ、その土地の伝説や信仰、美意識、幸福感などが反映されています。
アーティストルームでは、そんな暮らしの中から生まれた“郷土玩具”をモチーフに制作していきます。普段棚に飾られてる玩具たちが、魔法にかけられて、日本の自然を冒険しながら旅をしている様子を刺繍や絵具を用いて描き、新しい物語を生み出します。(青山夢)
田中 望 Nozomi Tanaka
田中望は1989年生まれ。宮城県出身。東北の風土や民俗学の研究、フィールドワークなどを数多く行いその成果をもとに絵画的に表現する作家です。

《日を知る》2017年 / h606×w455mm / パネル、麻布、胡粉、水干、岩絵の具、墨、箔
“日を知る“というのは、”暦と火の技術を知っている”という意味だと田中は言います。先祖代々伝わるこれらの技術は、田中が以前、山形でみた焼畑の風景に重なり、この作品の背景になりました。山形の庄内地域では月山信仰と関係から、ウサギは馴染みぶかい動物です。あの世の世界を象徴する月山の神様の使者であり、かつ、あの世とこの世の媒介者のような存在と考えられています。現代まで、山焼き(焼き畑)をつづけている人々の様子をウサギを通して描くことで、この行動が、先祖(あの世)とつながりであることを表現した作品になります。
田中も今回、「アーティスト・ルーム」に参加しており、”四十八茶百兎(しじゅうはっちゃひゃくうさぎ)”をコンセプトに制作しています。

制作風景
<作家コメント>
江戸時代後期、庶民の間でうまれた色を表す「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」という言葉をもじったもの。四十八や百は実際の数ではなく、古来の日本では「縁起の良いたくさんの数」として48という数字が用いられた。江戸時代継続的に発令された奢侈禁止令(しゃしきんしれい)は、武士、町人に対し布地の種類から染め色までを指定した。 とりわけ、町人に対して着物地は紬・木綿・麻、染め色も派手な色合いは禁止され、茶色、鼠色はお構いなしの色に限られる厳しい統制がとられた。こうした庶民の華美、贅沢を禁じた幕府の「奢侈禁止令」に対して、江戸の人々は茶や黒、鼠系統の地味な色合いにさまざまな変化をつけて、それぞれの色に、当時人気の歌舞伎役者や風月山水などの名前をとってつけ楽しんだ。許可された色の範疇で、「路考茶(ろこうちゃ)」「団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)」「梅鼠(うめねず)」「鳩羽鼠(はとばねずみ)」など、微妙な染め分けをした新色を続々登場させ、落ち着いた色調の中でも「人とは違う着物」「粋な着物」を追求したところに、日本人の美意識を伺い知ることができるのではないか。
さらに、この奢侈禁止令は、贅沢禁止、文化の統制によって当時庶民の娯楽であった歌舞伎や寄席などにも制限がかけられた。浮世絵も贅沢禁止の対象になり、春画、歌舞伎役者絵、遊女、芸者などの美人画を描くことが禁止された。しかし、江戸時代の絵師たちは禁止令を回避しながら、幕府の統制にたいして皮肉をこめながら作品の制作を続けた。(例:歌川国芳「源頼光公館土蜘作妖怪図」、喜多川歌麿「高名美人六家撰 辰巳路考」、歌川芳艶「猫のせかい」、歌川国芳「猫の百面相」、歌川豊国「工藤左衛門祐経」、藤川貞「妖怪・着飾」、歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書」、歌川国芳「亀喜妙々」など)
作者は、このような、江戸の庶民や絵師たちが、幕府に対する、あからさまではない形で、たのしみを見つけながら、反骨精神を潜ませるところには、日本の美意識や、現代のアートに通じる精神を感じる。そこで、室内の壁面いっぱいに、江戸時代の絵師たちが描いたモチーフのオマージュ(兎をモチーフにしたもの)や、四十八茶百鼠の色名からインスピレーションを得た兎の様子などを描き、東京のルーツである江戸の文化・歴史との関わりの中から生じる表現を試みたい。(田中望)
また、9月上旬にホテル25Fの共用部・アトリウムの作品も展示替えを行い、《いのちの交観 - 春 -》《いのちの交観 - 冬 -》が新たに展示されました。こちらの作品も必見です。

左:《いのちの交観 - 冬 -》、右《いのちの交観 - 春 -》2020年、各900×1,500mm 麻画布、胡粉、水干、アクリル絵具、墨、箔
角 文平 Bunpei Kado
先日、9月に韓国ソウルで開催されたアートフェアKiaf SEOULでは、世界各地の参加ギャラリー150名以上のアーティストの中から、来場者の投票によって選ばれるKiaf SEOUL 2023 Highlightsにてベスト3に入賞。銀座のメゾンエルメスでは、街にひらかれたウィンドウで、浮島のように造形されたクライミングホールドのイメージを展開させ、スポーツ、アート、ファッションが交じり合う躍動的な作品を発表するなど、各所で目覚ましい活躍をみせる作家・角文平。
角は、1978年 福井県生まれ。子供のように自由な発想力を基にした素直な表現力と、日本人らしい繊細な造形力を基にした再現力が魅力的な作家です。その制作物は、丹念に作り上げられているにもかかわらず、一見どこかから拾ってきた日常品かのような錯覚を起こさせます。ユーモラスな機知にとんだアイディアで、組み合わされた日常はいつも微かな違和感があり作品を注視させる力があります。今回の展示ではレセプションの正面にある展示台に作品が並べられ、一つの世界を生み出しています。


角文平《六本木ギャラクシアン》200x200x350㎜、2022年
また、秋の展示替えでは東京タワーをロケットに見立てた作品《六本木ギャラクシアン》も新たに加わりました。1979年にリリースされたシューティングゲーム「ギャラクシアン」のスペースロケットをイメージした作品です。25Fの窓から見える本物の東京タワーとあわせてお楽しみください。
阿部 岳史 Takeshi Abe
秋の展示替えにて、新たに阿部岳史の作品を展示しています。
阿部は、1977年 東京都生まれ。人物の肖像や風景を写真に撮り、パソコン上で画像に分解、色見本に沿って木製のキューブを着色することで曖昧な平面作品を創り出す作家です。
阿部の作品から伝わってくるのは、人の記憶や感情、気配などあいまいで不確かなものの存在です。着色されたキューブの几帳面な配列によって表されているのは、主に人物や風景ですが、それぞれが持つ固有の特徴を限りなく削り落とした姿です。色の配列としての情報だけが再現されることで、阿部が選んだ対象物はモザイクとなり人物や風景を特定する特徴や詳細が取り除かれていきます。こうして色のキューブとなった断片の集合は、鑑賞者それぞれの記憶の中のピースで補完されてふたたび像を結び、匿名的(アノニマス)な存在から鑑賞者にとって固有の「だれか」「どこか」へと還元されていきます。


阿部岳史 《Day dream#46》880x880x65㎜、木製キューブ、パネル、2018年

「あめつちのうた」展は11月19日(日)まで開催しています。
どなたでも自由にご覧いただき、その場で作品の購入もできます。ぜひ汐留メディアタワー25階へ足をお運びください。
<リンク>
★ ホテルウェブサイト
★ 青山夢・アーティストルーム
★ 田中望・アーティストルーム
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![[インタビュー] 角文平 個展:Secret room](https://artfrontgallery.com/whatsnew/_DSC5323.jpg)
![[インタビュー] 角文平 個展:The garden](https://artfrontgallery.com/whatsnew/_DSC5133.jpg)










































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