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Gallery's Picks for the Month(Art Front Selection: Summer 2025)
今回のGallery's Picksでは、6月13日よりアートフロントギャラリーで開催されるグループ展「Art Front Selection: Summer 2025」に出展される作品をご紹介します。Room 1ではエコ・ヌグロホの作品を、Room 2では「重なり」をテーマにした作品群を展示します。ぜひご注目ください。
グループ展「Art Front Selection: Summer 2025」
@Art Front Gallery / 東京
■会期:2025年6月13日(金)~6月29日(日)
■営業時間:水~金 12:00~19:00 / 土日 11:00~17:00 (月火 休廊)
■会場:アートフロントギャラリー
ウェブサイト
ROOM1『エコ・ヌグロホ Works』
インドネシアの現代美術家エコ・ヌグロホの作品を紹介。
東京では初展示となる着用できる立体作品《Future Fungus #2》も出品。実際に作品の中に入ってアートを体感することができる展示となる。
そのほか、絵画、刺繍作品などを発表予定。
ROOM2『重なりのカタチ』
レイヤー(層)をテーマに、重なりによって構築される作品を展開。様々な素材、技法、コンセプトの作品を一つのテーマに沿って展示することで、新たに見えてくるアート表現の幅広さと、視点の面白さ、そして各作家の独自性を再発見する展示となる。
出品作家:
アルフレド&イザベル・アキリザン、柳幸典、金氏徹平、原田郁、淵上直斗、カネコタカナオ、井村一登
エコ・ヌグロホ / Eko Nugroho
インドネシアを代表する現代美術家としてアジアだけでなく、ヨーロッパやアメリカなどでも活躍するエコ・ヌグロホ。1977年インドネシア・ジョグジャカルタに生まれ、Indonesian Art Institute 在学中の90年代末からキャリアを重ね活動を続けてきた。
1997年のアジア金融危機に続くスハルト政権の崩壊とインドネシアの民主主義への移行を経験した「レフォルマシ(Reformasi、改革)」世代の一人であるヌグロホは、突然現実的なものとなった表現の自由を享受し多様な作品を発表しつつも、作品には自身の政治社会的な意識が投影されている。
ジャワ島におけるアートの中心地ジョグジャカルタで制作されるヌグロホの作品からは、インドネシアの伝統と現代的なポップカルチャーの引用という二つの要素に基づいていることが分かる。伝統的なバティックと刺繍のスタイルを作品に取り入れる一方で、現代のストリートアート(グラフィティ等)をはじめ、コミック、日本の特撮からも強力なインスピレーションを受けている。ドローイングやペインティングのみならず、壁画、彫刻、アニメーション、タペストリーなど、さまざまなメディアで作品を制作している。また、2013年には第55回ヴェネツィア・ビエンナーレのインドネシア代表として出展を果たし、国際的にも高く評価された。
「Art Front Selection: Summer 2025」では、東京初公開となる《Future Fungus #2》を展示します。本作は、2024年のART FAIR ASIA FUKUOKAにて「AFAF Feature」として発表され、好評を博しました。
《Future Fungus #2》は、捨てられたペットボトルやホース、パイプなどのプラスチック素材を再利用して制作された作品です。色鮮やかで異国的なビジュアルは、その素材が廃棄プラスチックであることを一見では感じさせません。
さらに本作は、観客の参加によって完成するインタラクティブな作品です。宙づりにされた構造の内部に観客が入り込むことで、作品そのものが生きた体験として成立します。


エコ・ヌグロホ《Future Fungus #2》2020、980 x 960 x 2160 mm、ワイヤー入りアップサイクルプラスチック、グラスファイバー、アクリル
アルフレド&イザベル・アキリザン / Alfredo&Isabel Aquilizan
アルフレド&イザベル・アキリザンは、家族や記憶、移動といったテーマを軸に活動するアーティスト夫妻。5人の子どもとの日常や家庭生活を共同制作の核とし、日用品や廃材を収集・再構成したインスタレーションを各地で展開している。フィリピン出身で、現在はオーストラリアを拠点に活動しており、2015年の第56回ヴェネツィア・ビエンナーレへの出展をはじめ、国際的に活躍している。地域社会との協働や移民としての経験を通じて、個人と集団、家庭と社会をつなぐ芸術のあり方を探求している。現在は家族で「フルーツジュース・ファクトリー・スタジオ」として制作を続けている。

アルフレド&イザベル・アキリザン《In_habit_Black》2014、 紙、金属塗料、2400 x 430 x 420 mm
金氏徹平 / Teppei Kaneuji
1978年京都府生まれ。モチーフは主に日常的なイメージをはらむフィギュアや雑貨。現代社会で再生産され続ける情報のイメージを、リズミカルに反復と増幅を繰り返し展開させることで注目を集める。個々の物体が持つ本来の意味が無視されて繋げられることで、思いもしなかったダイナミックな表現がもたらされている。

金氏徹平《Summer Fiction(River Stone) 》2018、信濃川の石、FRP
原田郁 / Iku Harada
原田は、コンピューター内に家や公園、ギャラリーのある架空の空間を作り、その中に立った視点から風景を描いている。そこは現実のようでありながら、大気の厚みや自然光によるグラデーションのない、ひと昔前のコンピューターの中の世界の絵に描かれた架空の世界である。仮想空間で生成した世界を、現実のキャンバスに風景画として描き出し、近年は立体作品も制作。仮想と現実が相互に影響し合う入れ子構造へと発展している。

原田郁《WINDOW 2024 (flat) #004》2024 / ジグレー、アクリルマウント、額装 / 425×600×33 mm
淵上直斗 / Naoto Fuchigami
1995年兵庫県神戸市生まれ。関西大学で物理・応用物理学を学び、富士通でSEとして勤務後、2021年よりアーティストとして活動を開始。量子物理学の視点から、物質世界の構造やその奇妙さ、人間との関係を主題に作品を制作している。今回展示する作品が含まれる「ħシリーズ」では、ICチップになる前のシリコンウエハー(半導体)を粉砕し素材とすることで、半導体の持つ人間には理解しがたいという直観に反する性質と、それが社会を支える不気味さや人間の限定性を表現している。粉砕の行為は、プロダクトを物質へと還元し、機能を奪うと同時に、人間が単純化しようとする営みや、や不正確な補間への関心に由来する。量子力学の定数「ħ」をタイトルに用いることで、ミクロな世界の原理と芸術表現の接点を提示し、新たな表現の可能性を模索し続けている。

淵上直斗《ħ - particle / interaction #6》2024 / パネル、エポキシ樹脂、シリコンウェハー / 333×333×25 mm
カネコタカナオ / Takanao Kaneko
カネコタカナオの作品は、漫画とグラフィティが融合した独特の画風で、タイポグラフィーやコミックのコラージュを用いた層構造が特徴。SNSによる情報の「ノイズ」と人間の二面性をモンスターキャラクターで表現し、ネットと現実で変容する人間性を描く。シニカルなテーマながらも、諧謔的で親しみやすいキャラクターを通じて、人間社会への深い好奇心と温かみが伝わる作品群である。今回は、アクリルに印刷をする新たな技法を用いた新作を発表する。

カネコタカナオ《drop2》2025 / Φ700 mm / アクリル、木製パネル、漫画雑誌、アクリル板(インクジェットプリント)
井村一登 / Kazuto Imura
井村はハーフミラーや球体鏡、LEDを用い、視覚や認識に関わる光学的作品を制作する作家。近年は鏡の歴史を探り、「自分が映らない」鏡をはじめ多様な素材で表現の可能性を広げている。瀬戸内国際芸術祭やマツモト建築芸術祭での展示をはじめ、製薬会社やホテルなどのコミッションワークも手掛け、生活空間に光と輝きをもたらしている。

井村一登《Wall- ordered convexo - concave(白色光)》2025 / ガラスミラー、アクリルミラー、LED、額装 / Φ266×138 mm
柳幸典 / Yukinori Yanagi
柳幸典は、国家、権力、記憶といった社会的・政治的テーマを扱い、構造の内側に潜む矛盾や不安定さを可視化する作品を制作し続けている。蟻や砂、廃材など、時間や痕跡を内包する素材を用い、変化し続ける状態そのものを作品に取り込むのが特徴である。近年は、地域に根ざした制作にも取り組み、産業遺構や自然環境と対話しながら、アートと社会の関係性を問い直すプロジェクトを展開している。

柳 幸典《HI NO MARU》シリーズより、1991、840 x 620 mm、リトグラフ、エンボス、コラージュ
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