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Gallery's Picks for the Month - September
OKU-NOTO Triennale
Teppei Kaneuji
Oscar Oiwa
Ayako Kuno
Miyuki Takenaka
南条 嘉毅
南条嘉毅は1977年香川生まれ。2002年に東京造形大学研究科(絵画)を修了後、東京を拠点に活動し、2007 年の観音寺市でのレジデンスプログラムへの参加以降は中之条ビエンナーレや水と土の芸術祭、また国内外のアートフェアでも紹介されるなど徐々に活動の場を広げています。2012年の越後妻有アートトリエンナーレでは土の美術館「もぐらの館」において土を用いたペインティングをキャンバスのみならず窓ガラスなどにも展開して展示。
風景を主題としている南条の作品の大きな特徴として、絵具で描かれる部分と、描かれている現場の土を使った部分とが混在する画面構成があります。作家はその場所を自ら訪れ、訪れた場所の魅力や歴史や日常などに基づき、土を採取し、そうして持ち帰ったさまざまな情報を分析して絵画に落とし込みます。2019年アートフロントでの展示では、同年開催の瀬戸内国際芸術祭参加作品と連動した展示を展開しました。これによって南条の作品は、絵画のみならず、その土地の歴史と文化を土や砂、または鉱物を通して知ることのできる民俗学および地質学をバックラウンドとした作品に発展しました。
この秋、南条は自身にとって嘗てない大役が巡ってきました。珠洲市を舞台とした国際芸術祭において、同芸術祭を代表する企画「大蔵ざらえ」のキュレーターに大抜擢され、スズ・シアターミュージアムの中身を計画実行することになりました。
南条は、前述の久野、竹中らをはじめ合計6名の作家を集めシアター内に配置し、様々な角度から珠洲の歴史と文化をその土地の道具を通して表現しました。古いものを通して浮かびだしたその土地の歴史や時間をまとめ上げ語られる物語は、アーティストの手を借り時間、空間を超えて、この世のあらゆるものとつながり動き出します。劇場と博物館の二つの異なる性格をもつ施設がアーティストを通して一つになる、いまだかつてない新たな展開を体感してください。
<以下奥能登国際芸術祭公式HPより抜粋>
スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」は、これらモノたちが主役となるミュージアムです。日用品のほか、農具や漁具、膳や椀、キリコ灯籠など、行き場のないモノたちが、美術、民俗、人類学、歴史学など各ジャンルの協力をえて収集、分類、保存、活用されます。 ミュージアムに結集し、アーティストの手が施されたモノたちは、現在から100年余り昔への時間の旅、海を越えてつながる各地の風景を感じさせる旅へと、わたしたちを誘ってくれることでしょう。さまざまな時間と空間が交錯してうまれる新しい珠洲像により、珠洲と各地を結ぶ人、モノ、コトの交通が開かれることを期待しています。
〈cluster047.fujitozan〉 2019, quartz, acrylic paints, 135 x 150 x 130mm